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2009年2月17日

ハンコック(2008)

- 楽しめる -

ハンコックはロスアンジェルスの嫌われ者だった。スーパーパワーを持っているのだが、やることがメチャクチャで、犯罪者を捕まえるいっぽうで町を破壊していた。

しかし、ある時、広告代理店勤務の男と知り合い、彼の勧めで更生しようということになる。刑務所に入って言葉使いなどもトレーニングし、本当のヒーローを目差そうとしたが・・・

・・・前宣伝が凄かったので、この作品には期待していた。やっとこさビデオを借りて(40-50本、全部借りられていたので、なかなか借りられなかったのだ)、観ることができた。

ハンコックが酒びたりでヒンシュクを買うシーンがおかしかった。2月17日昼には中川財務相が辞意を表明したらしいが、国際会議で薬物によると思われる「酔っ払い」風の映像を見せてしまっては仕方がない。誰かの陰謀かと思ったが、そうではないらしい。

周辺のスタッフには気が効くヤツはいなかったのか?会話がおかしければ大臣を会見に出させないような配慮くらいはしないといけない。もちろん、大臣自身も会見を体調不良のために辞退する判断をすべきだったと思う。

映画は、CGのできは素晴らしい。さらにクレーンなどを使った実写との連携も実に自然にできていて、観て楽しむビジュアルの面では最高の出来であった。さらに、ウィル・スミスが心に問題を抱えている様子を上手く、しかもメチャクチャな行動で表現していて、ユーモアや演技もなかなかのレベルだったと思う。

いまひとつ盛り上がりに欠けたのは、最後に事態がひっ迫する、危機が増幅するような盛り上がり方ではなかったことか?全体のストーリーに問題があったと感じた。アイディアはバツグンだった。嫌われ者の無茶なヒーローがやらかす失敗と、人々が彼に投げかける罵声が面白かったので、エピソードをよく考えれば素晴らしい傑作シリーズになったと思うが、今回の作品を観る限り、続編を作るのには無理があるような気がする。「また続編を観たいな」と思わせられないような作品は、やはり失敗と思うべきではないか?

シャーリーズ・セロンの使い方が良くなかった。

原則から言えば、彼女の役割は主人公の盛りたて役であろう。したがって、できれば最初から敵か、もしくは黒幕として最後に本性を表わして観客を驚かすような存在であるべきだ。今回の作品では、そのへんの基本的な設定がおかしかった。

できれば、もっと目立たない小柄できゃしゃな感じの女優が彼女の役を演じて、例えば強盗の人質になって、主人公が彼女らを助けるか、自分の名声を犠牲にするかの二者択一を迫られ、やむなく犯人の要求に従おうかとした瞬間、怖ろしい本性を表わして主人公より凄いパワーで犯人を血祭りにするといった展開のほうが面白かったと思う。

つまり最初は皆に嫌われる主人公。次は何かのきっかけで人間達と仲良くなりたいと考える展開。すったもんだのギャグの後で、とうとう皆のヒーローになる主人公。続いて本当の危機が訪れる。友人の家族が人質になる。犯人の要求を聞いて犯罪の手助けをしようとしたが、「しょうがねえなあ、本当のアタシの力を見せてあげる」ってな具合に主人公が知らなかった事実が明らかとなるってな話が普通だろう。

さらに、ギャグ的な要素を取り入れるなら、主人公にバカにされ、呆れられているようなおばあちゃんもスーパーウーマンで、実は主人公を作った神様ご本人で、主人公を最後に叱責し、「テメエのケツに頭を・・・」などと怒鳴って、更生させるなんて面白い。

観客が主人公に共感できないとヒットは難しい。主人公の孤独感、悩みが一般的な悩みと共通する部分がないと共感は得られない。したがって、そのへんの表現ができるような、エピソードを散りばめて、自然に主人公と同じような感覚でになり、共に戦い、共に涙するような設定が望ましかった。

通常なら、人間に受け入れられるために、掃除や奉仕活動など、およそ似つかわしくない行動を強制される話が欲しかった。さらには賛美歌コーラスなど、歌手のウィル・スミスが「下手くそ!」などと怒られるエピソードも常道ではないか?そんな情けない体験を主人公にさせないと、共感は望めない。共感がなければ、最後の爽快感もない。

終盤に、さすがの主人公も敵わないような脅威が訪れることが必要だとの認識はあったようで、画面でもピンチらしき場面はあったが、設定に無理があった。ハンコック相手に銃を持って戦いに来るような人間はありえない。彼が弱っていることを強調したセリフが必要だった。

この作品で、観客は涙できたろうか?ありえないと私は思うが・・・

でも、娯楽作品としてはよく出来ていた。映像面だけなら一級品だと思う。したがって、家族や恋人と観るのはオススメ。楽しめる。

 

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