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2009年2月28日

イーグル・アイ(2008)

- スピード感がいい -

主人公は優秀な兄の陰に隠れて育ち、コンプレックスのために大学も中退して今はコピー屋の店員。その彼に兄が急に亡くなったと連絡が入る。葬儀を終えて帰宅した彼の部屋には身に覚えのないテロリスト様御用達の荷物が届いている。

当然FBIに追われることになった彼だが、謎の女性から連絡が入り、逃げ出すことに成功する。女性の指示でカーチェイスを乗り切り、強奪した荷物を運び、不思議な導きによって様々な手続きを乗り越え、ついにアメリカ政府の中枢に侵入する。

果たして謎の女性の意図は?・・・という話。

この作品はスピルバーグもスタッフに加わっているらしいが、彼のスタッフだった連中が中心になって、彼の手法を参考にやっているのではないかと疑うが、本当のところは解らない。かって似たような作品で、マイノリティー・リポートがあった。あちらのほうが設定は進んでいる感じだが、この作品はより近未来でリアルな設定であるため、撮影にも実写が多く取り入れられていた。その効果はあったと思う。

似たような話は多い。少し愉快な話では、「ウォーゲーム」なんか懐かしい。ハッカーをやっていた少年が、偶然軍のコンピューターに侵入してしまう騒動を描いたものだった。ターミネーターシリーズも、設定は同様だ。コンピューター社会への不安が根底にあって、そこから派生する物語に色々な工夫がされている。

この作品は特にスピード感がいい。主人公達が追い詰められていく様子が解る。展開がゆっくりしてしまうと、その緊迫感が伝わらない。ついつい心理描写をしようとして流れを滞らせる映画が多いが、この作品は違う。たぶん、スピルバーグのもとでの同僚であるスタッフが集まって、「何分かに一回はアクションを織り込むのが原則だぜ」「いや、メリハリをつけるために、ここは静の場面にするべきだ」などと討論しながら編集したのか?

主演のラブーフの表情は良く、トム・クルーズよりも演技は上手いと思うが、作品として盛り上がる俳優かどうかは解らない。彼がタフなキャラクターを演じるのは無理である。この作品の主人公はタフでないことは解るが、人物としてどんな描き方を目差していたのか、私には完全にはつかめなかった。

冒頭でポーカーをやるシーンがあったが、あの中ではキレモノ的なキャラクターで仲間から金を巻き上げてたので、そのままなら頭の回転がいい人物であるかと思ったが、作品の途中では兄に対するコンプレックスをかかえた劣等生、または脱落者的な人物としても描かれていて、要するにカッコいい人物なのか、愛すべき人物なのか解らなかった。描き方として、中途半端と言われても仕方ないのでは?

冒頭の感じのままなら、社会のアウトサイダーだが、タフで頭の切れる人物であり、最初は操られるが、敵の裏をかいて犯罪を暴く逆転のヒーローになるストーリーを描けば良い。でも、この作品では凄くカッコいいとは言えないヒーローだった。現実的だが、映画としてはそれで良かったのか解らない。基本的に主人公に観客が同情し、共に戦うような心情を作らない限り大ヒットはしないと思うが・・

カーチェイスのデキが素晴らしい。ちょっとカメラが寄り過ぎて、何がどう動いているのか解らないシーンもあったが、これはおそらくDVDで観ているからで、本来の横長のスクリーンで観れば迫力が出る撮り方ではないかと思った。

最近は縦に車が転がることで派手さを出すアクション映画が多かったが、この作品のように連続して車がクラッシュすることと、カメラアングルを工夫することでも結構な迫力が出せることがわかった。ジェイソン・ボーンシリーズでも無茶なアクションではなく、計算と経験に培われた技術者達の工夫があった。

この作品は家族で観ることができると思う。恋人と観るのもいい。緊迫感の盛り上げ方が抜群にいい。きっと誰でもかなり満足できる。

さて、我々の携帯電話での会話は誰かに監視されているだろうか?予算的に考えると、全部を盗聴するのは無駄だから、会話の中のキーワードで検索し、主にアメリカに対して有害な者をピックアップした後に重点的に監視する方法が取られているのではないかと思う。

アメリカ、アメリカ軍、ペンタゴン、FBI、CIAや、中枢部の特定の個人名や企業名などから検索すれば、ある程度は絞れるだろう。

パソコンの場合は完全にやられているはずだ。私もブラックリストに載っているかもしれない。「こいつはアホな分析を繰り返す男。とるに足りないくだらない映画評をやっている。」などとコンピューターに判断されているかも知れない。そう思うと口惜しい。

私の持っているパソコンは時々思わぬ誤作動を起こすことがある。よく銀行の中枢部やJR、空港などの大型コンピュータもトラブルを起こす。基本的に、どんな高性能コンピュータでも故障や誤作動はありえるので、判断の領域は人間に最終的な権限を任せたほうがいいと思う。

たしかに人間のミスはさらに多い。でも緊張感を持った判断と、大事かどうかの状況判断などの領域は、単純な入力からなるコンピューターでは再現が難しい。「重要度」の設定は、コンピューターの世界では、どのようにやるんだろうか?

例えば、アスセスなどのソフトではクエリや演算の設定を使って特定の条件づけは可能だが、優先順位の設定を相当慎重にしないと、状況が変わって優先順位も変わるような場合に何かの設定ミスがあれば、とんでもない結論を導いてしまうだろう。しかも、判断材料となる情報を入力する人間の質も問題になる。誤った情報を入力されたら、もう終わりである。

しかし、理論的には、このような問題点はほぼ矯正できるだろう。攻撃に対処するシステムはコンピューターにかなり侵食されることになると思う。

 

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