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2009年2月24日

椿三十郎(1962)

- 娯楽に徹してみよう -

若い侍達が、お堂で相談をしている。藩の不正を正そうと決起した相談である。ところが、このお堂には先客がいた。むさくるしい格好の浪人者、三船敏郎である。

「話を聞いていたが、ちょいと待ちな。」ってな具合に彼が分析すると、確かに言うとおり。既に回りは敵方に取り囲まれている!

しかし、その場は三船の機転で上手くやり過ごすことができた。三船は若者達と行動を共にすることになる。

藩の重役のうち、悪者達は結束している。不正の罪を家老に押し付けて、彼を監禁してしまう。彼の妻と娘は、三船らによって取り戻すことができた。

さて、今度は家老を取り戻すべきだが、彼はどこにいるのか?三船達は様々なアイディアを練って、どうやら場所を特定する。屋敷の警備がいなくなったことを仲間に知らせなければならない。その合図は・・・

・・・アイディアにあふれ、躍動感あるシーンとユーモアあるシーン、怖いシーン、激しいシーン、いろんな変化をもたせた娯楽作品。とにかく、娯楽に徹してみようという精神を感じる。

この作品は、でも子供向きではない。最後のシーンは写りが良いテレビで観ると気分が悪くなる子も居るかもしれない。一般的には男の子なら今でもワクワクしてくれそうな気はするんだが・・・

さすがに全体に古めかしくはなっている。演技も過剰な表現が目立つ。いかにも舞台劇を見るかのような大声で、潜んでいるはずなのに・・・という違和感はある。でも、リアルである必要はない。娯楽作品なんだから。

織田裕二主演の作品と比べると好みは分かれるだろうが、映画らしさの点では古いオリジナル作品のほうが味がある。

でも恋人といっしょに観るためには、演出の具合や画面の暗さや解像度に難がある。デジタル処理して、色彩もつけてなら耐えてくれるかもしれないが、普通の女の子は嫌な顔をするかもしれない。

主人公が「用心棒」で登場したのと同じキャラクターで、今回も同じように人を切りまくるのだが、前作のように切った手がころがるようなシーンはなかった。でも最後に劇画的な決闘があった。

実際に心臓あたりを刀で切ったら、どうなるだろうか?

心臓を切った直後を見たことはない。自殺目的で心臓を突いた娘さんを見たことがあるが、だらだら流れ出て困るだけで、噴出してはいなかった。その娘は外来で心臓が止まったが、私が魔法のような処置で生き返らせてしまい、かえって悲惨なことになった。

血圧が下がった状態の事故の患者は何人か見たが、さすがに血は噴出してはいなかった。手術場でピュ-と血が飛び出すことはあるが、なかなか大量には出ない。小さな穴だと飛ぶが、大きく切るとドバドバ流れ出る感じになる。圧がそれほどでもないからだ。

血管を流れる血の量、心臓の付近の圧によって吹き出る量は決まるが、おそらく刀で心臓をまっぷたつにしても、圧が低い関係で、血は飛び出さない。

さて本題の映画であるが、三船の迫力もあって大活劇になっている。キャラクター設定が素晴らしい。自分の名前を聞かれてゆっくり考えてから答えるヒーローは、それまでいたのだろうか?例えば大衆演劇ではどうだったか?

あのシーンが実に主人公を魅力的にしている。とぼけた感じ、ユーモアというか人をバカにしたような、不真面目な感じ。あれが結構人を惹きつける。あんな雰囲気を真似る輩は今でも多い。

敵役の室戸役の仲代のかつらがおかしいが、それ以外は見事な出来上がり。仲代みたいな怖い顔の敵がいないと活劇は盛り上がらない。あんな俳優、誰か今いないかなあ。ギョロっとした目は、白黒だと生きる。カラーでは、なんだか怖さが緩和されるのだ。不思議だが。

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