映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« ナルニア国物語2(2008) | トップページ | 幸せになるための27のドレス(2008) »

2009年1月18日

バンテージ・ポイント(2008)

329345_02_xl - 楽屋ウケ -

テロに対する包括的な協議に臨むべく、スペインを訪れたアメリカの大統領が狙撃された。現場に居合わせたボディガード、テレビ局のスタッフ、旅行者、市長を警護する警察官、現地の男、そして大統領自身などが、各々の視点で事件を回想する。

ボディガードは、過去の狙撃事件で心に傷を負い、今回は久しぶりの現場復帰。同僚からは「アイツ、薬でもやってんのか?」と不安がる意見もある。彼はテレビ局のカメラを再生して、あることに気がつく。そこから、思ってもみなかった事件の真相が明らかになる。

各々の回想と、そこから狙撃の後のさらなる展開が、グランドホテル形式で繰り広げられる。

この作品は実によくできていた。

登場人物それぞれの視点から暗殺事件を解説する仕組みで、前半は各々の意見、分析が食い違い、我々も事件の真相を勘違いしてしまう。途中から徐々に新事実が現れ、最後は激しい追跡劇へとつながる。盛り上げ方が巧みだった。

家族で観るべき作品だとは思わないが、観るに耐えないというような印象は受けなかった。友人と観るには悪くない。デキがいいからだ。

展開としては二つの話を無理につなげたような、ちょうど製作者達の意見が割れて、サスペンスでいくか、アクション中心で行くか、とうとう収拾がつかなくて無理にくっつけたような構成になったが、それでも面白かった。最後にアクションがあると、徐々にスピードアップしていく感じになるので、良いアイディアだったと思う。

でも、この作品はあまり評判にならなかったようだ。俳優が、いまひとつメジャーではなかったことが理由かも知れない。例えばトム・クルーズなどが主演していれば、だいぶヒットしただろう。

話に無理な点もあった。細かいが、例えば犯人グループが爆弾を使ったり、誘拐をした場合には一人が様々な仕事を兼務すると、ひとつの仕事に滞りがあった場合、もう全てが台無しになる。兼務しないで、ひとつに集中させることは重要だ。

テレビ局の中継車にズカズカと入ってきたボディガードに、ただちに映像を見せるだろうか?自分達も映像を送ろうと、まさにひっ迫した忙しさの中で、人に協力できるとは思えない。きっと何らかの抵抗があるはずだ。

さらに、テレビやビデオの画面で小さな登場人物を特定し、あいつが怪しい!などと断定できるものだろうか?実際の家のビデオで見ると、自分の家族と他人とを区別することさえ難しい。この点は、明らかにおかしい。

爆弾で倒れた人達が、あんまり埃をかぶっていない。直ぐに立ち上がって犯人を追っている。車も運転してる。普通は満足に歩くこともできないはず。耳はおかしくなっているだろう。カーチェイスなんかやれば、すぐ事故を起こすだろう。

気になったのは、大統領がテロに対抗して、軍事行動を起こすように迫る補佐官に対して、「テロに応じていたら、それこそ彼らの思う壺だ。我々は、その手には乗らない。」という場面があったが、まさにブッシュ政権の行動に対する反論、反省であろう。こんなふうに政略じゃなく、戦術的に対応して欲しいという願いなんだろう。

最近は本当にテロを扱った作品が多い。韓国映画も日本の作品もそうだ。確かに緊迫感、爆発の迫力、悲惨な殺人、裏で繰り広げられる人間模様などは、いかにも映画的な題材だ。でも、私は少々飽きている。なぜか、この秋は西部劇なんかを観てしまった。

テロリスト達が完全に非道な人間としては描かれていなかった。この辺は、映画人の公正さを現しているのかも。

ボディガードの中にテロリストが混ざる可能性はある。おそらく、本当にそのような計画もあるのではないか?そうでないと、実際に政府の要人を誘拐することは難しい。

しかしアメリカの場合は、大統領の誘拐は意義が薄いだろう。もし誘拐されたら、直ちに副大統領か下院議長が職務を代行するようなシステムができている。交渉の材料にはならないのではないか?

この作品は若い人達が友人と観るのはいい。ヒットするとは思えないのだがよく作ったものだ。楽屋ウケか?

 

 

« ナルニア国物語2(2008) | トップページ | 幸せになるための27のドレス(2008) »