映画評

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2009年1月25日

最高の人生の見つけ方(2006)

- 旅行は諦めました -   

ガンを告知された老人二人が、残りの時間を使って人生でやり残したことをリストにして、やっちまおうとする物語。その内容は、スカイダイビング、カーレース、エジプト旅行、ヒマラヤ登山、絶世の美女を抱くことなど。

一人はジャック・ニコルソン演じる大金持ち。もうひとりはモーガン・フリーマン演じる自動車修理工。ピラミッドの頂上で、エベレストのふもとで、二人は会話する。それぞれの人生の意味、達成したこと、やり残したこと。

それぞれの家族の問題や、子供に対してやり残したことが明らかになってくる。二人の旅は、どう終わるのか?

バケツ・リストというのが原題らしいが、つまり人生でやり残してバケツにたまったような課題のリストをやり遂げようというタイトルらしい。邦題はまじめくさった題なので、味の面では原題のほうがいいかと思う。

この作品はコメディなので、いつものモーガン・フリーマンのキャラクターよりも軽い面が目立った。もちろんガンを告知される時や、検査結果を知らされる時にはショックで呆然とするシーンもあったが、にやけてドライブするシーンや、スカイダイビングで大騒ぎする時は、いつもの彼の演技ではない印象があった。

ジャック・ニコルソンは、彼らしい毒の効いた演技だった。いかにも金の亡者のような表情、仕草で、存在感があった。彼のような俳優は日本にはいない。三国連太郎や津川雅彦が近いが、悪魔的でいたずらっぽい表情はニコルソンならではのものだろう。

病気をドキュメンタリー風に描く作品ではないので、ガン患者の表情は少し深刻さが足りなかった。告知した時の反応にはいくつかのパターンがあって、作品中にも出ていたが、怒り、恐怖、嘆き、順応などが回りながら現れることが多いものの、例外も結構少なくはない。

フリーマンが検査結果を電話で聞いてタバコを落とすシーンは、テレビ臭くてイヤに思った。あれでショックを表現したつもりかも知れないが、手が震えて落としそうで落とさない、もしくは落として「アッチッチ。」と言って周囲が笑い出し、本人が怒った表情で周囲が状況に気づき、皆の表情が真顔になるなどのほうが実際に近い。

淡々と受け止める人も確かにいる。しかし、それは努力してであって、やはり手が震えたり、自分より自分の家族のショックを気づかっているだけがほとんどなので、よく見れば無理している。年を取った人は、自分の老いを無意識に隠そうとして不必要に早く動く場合があるが、あれも常に努力を心がける人では自然な反応なんだろう。

いつもは穏やかで上品なご婦人が、突然目がギラギラして、「すぐに紹介状を書け!」みたいな激しい要求をしてくる場合もあった。「いや、これは普通に手術で取れますから、この病院でも安心・・・」「いいえ、私は○×病院に行きます!」「あの病院は放射線治療が必要な時に困りますから、できれば・・・」「とにかく紹介状を書いて下さいな。」ってな具合で、こちらの意見には耳をかさない。

ひたすら怒る人も多い。別に私のせいでガンになったわけではないのに、「なんで去年は解らなかったのか!」「いえ、去年は検査を受けてらっしゃらないです。」「受けてなくても話はしたろう!」「話だけでガンかどうか解りません。」「それはアンタが一流じゃないからだ。もういい、俺は一流の医者を探す!」ってな調子で、無茶な話だと私は思うんだが・・・。

自分もやがてはガンの告知を受ける番になるだろうが、はたしてどう反応するか?

きっと何もする気がしなくなるか、ヤケクソになって飲みまくり吐きまくるくらいではないか?確実に夜は眠れなくなるだろう。情けない八つ当たりや、同情を引こうとして妙な言動をとることも予想される。もともと肝が据わってないから、何か起こると頭が働かなくなるのだ。本当に優れた人格の持ち主は、ショックにも耐えて、プレッシャーの中でも頭を働かせることができるはず。そんな人間になってみたい。

この映画の二人は、ショックは受けていたが、思考回路がちゃんと回転していた。その点は不自然と言えば不自然だ。おたおたして、バカな失敗や八つ当たりくらいはすべきではなかったか?そして、そんな自分を恥じて謝罪することで仲良くなるほうが自然ではあった。ただし、あんまり自然さを狙うと、話が重くなりすぎるが。

でも、もうちょっと重くしていたら、感動も深くなったのではないか?喜劇的な中に、非常に重いテーマや悲劇的エピソードを混ぜると重みが増す効果は知られているが、程度の見極めが上手いと、大変な傑作になる。泣けて仕様がないほどに、この作品は盛り上っただろうか?

自分の孫にあった時に、最高の美女と評するのはお約束のレールに乗ってはいたが、やや安易な感じが気になった。いかにもテレビ的ではないか?

この作品は良い出来だった。家族で観ることもできる出来栄えだ。表現も激しくないし、内容も重過ぎないので、子供にも見せることはできると思う。恋人と見るのは、ちょっとテーマは外れる気もするが、これからの人生をどうやっていく?と相談するには良い題材かも。

音楽が少々気になった。全体の雰囲気を良くする諦観をイメージさせるような音楽があれば、涙なしでは見れない作品になると思うのだが、そこまでは行っていなかったのでは?

さて、私が人生でやり残したことは?

パラグライダーやスカイダイビングには、あんまり興味ない。ヨット・クルーズには、ちょっと憧れる。もう精力がなくなったので、絶世の美女との一夜にも特段の興味はないが、若い頃だったら是非ともお願いしたかった。

酒はどうでもいいし、グルメ料理も縁がなかったので、あんまり興味ない。御飯と漬け物で文句はない。車もスポーツカーは腰が痛くなるのでイヤだ。パジェロのショートでダート走行や雪道走行するのは充分に面白かった。サーフィンはやってみたいが、練習が大変かも。

子供と遊ぶのは楽しいが、今もやっている。毎日絵本を読んで、学習も兼ねてトランプやカルタをやってるのは楽しい。子供が皆大きくなったら寂しくなり、もう一度やりたいと思うかも知れない。

海外旅行はしてみたい。エジプト、イタリア、ウイーン、イグアスの滝、キリマンジャロ、故宮博物館、アラスカ、南極などにも一回は行ってみたい。スイスにも、もう一度行けたらいいが・・・。旅行には体力が必要だが、たいていの人は体力があるうちは金と時間がなく、いざとなったら病気して行けなかったというパターンになりがち。暇な老婦人が友人とでかけることができるくらいだ。

私の家内は子供を置いて勝手に旅行している。ある日家に帰ると家内がいない。「おかあさんは、どこ行ったの?」と子供に聞くと、ディズニーランドと答えられて呆然ということが数回あった。怒るより先に、あきれてしまう・・・。

こんな調子じゃ私はきっと一生旅行に行けないだろう。

旅行もいいが、やはり家族と穏やかな関係でいられるのが最高だ。さあ、ジャック・ニコルソン氏も娘と仲直りできたろうか?

 

 

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