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2009年1月 4日

ローズ(1975)

Rozu - 限定商品 -

ロックスターのローズは、完全に疲れきっていた。

仕事は順調で、コンサートは大うけの連続。観衆は総立ち、彼女はノリノリ、でもステージを終えればアルコールと薬にまみれたジャンキー状態。

大勢のスタッフといっしょにツアー中だったが、激しいパフォーマンスを演じるいっぽうで、移動続きのぐったりした毎日。ミュージシャン仲間は大勢いるが、心の拠り所となる人はいない。休暇が欲しいと願うがマネージャーが許さず、意見が対立していた。

ある日、曲を使った歌手と対面するチャンスがあった。ところが、この歌手はローズの人気を妬んだのか、「俺の歌を使うな。」などと言う。それでもマネージャーは、仕事優先で彼女の弁護などしない。

怒った彼女は町に飛び出すが、その時の運転手と意気投合。彼は新しい恋人になる。

しかし、彼女の生き方と彼の生き方の違い、ローズの過去をめぐるケンカ騒ぎ、かってのレズ相手の登場などで二人は感情的対立を繰り返し、ついに彼はローズの元を去っていく。

マネージャーもローズの身勝手さに腹を立て、クビだ!と叫ぶ。

皆が自分から去って行く・・・そんな孤独感、焦燥感に駆られた彼女だが、それでもコンサート会場に向かう。大量の薬を飲んで気分を落ち着かせてから・・・

この作品は、当時のアカデミー賞の授賞式の時に存在を知った。評判の映画ができましたと紹介されたんだが、主演女優はこの人ですって紹介されたベット・ミドラーを見て、ガーンと来た。

小太りのブス。どこがスターだ?

しかし、実際の映画を見ると歌も演技もド迫力で、とにかく凄いのである。風采も好印象につながっていた。彼女なら、あんな風に腹を立てて男を殴ったりするだろう、みじめに捨てられることもあるだろう。あわれで、真実味が出るのである。

歌の迫力が凄い。もちろん本当の歌手なんだから当然なんだが、それにしても凄い。本来の歌唱力、表現力がないと、ここまでの迫力は出せないだろう。モデルとなったオリジナルの歌手を見るような思いがした。

最近の彼女は、情報によればシーザス・パレスで長期のショーをやっているらしい。きっと、ゴージャスなステージなんだろう。彼女のショーなら、大枚払ってでも見てみたいと思う。

迫力ある歌唱シーンのために、ドラマの部分がかすんでしまう傾向はあった。ほとんどはケンカ、言い合いのための言葉の応酬なんで、リアルだが内容はない。でも、ローズの苛立ちを表現できていた。彼女の感情が痛いほど伝わった。つまり脚本としては、高いレベルにできていたってことだろう。

ちょっと思ったのは、彼女がスターダムにのし上がる場面があれば、もっと我々の理解度が上がったのではないか?話が長くなることを避けたのか、この作品では最初から疲れたスター歌手の物語に限定していたが、それが正解だったのかは解らない。

他の伝記的作品では、栄光と挫折をいっしょに描くことが多いので、少し何かが不足したような印象を受けただけだが・・・。

構成は良かったと思う。歌のシーンにつなげて、ドラマのシーンも整理されていたし、迫真のステージングのために、かなり無駄をそいだ感じがあった。いっぽうで、ちょっと不要とも思える会話やエピソードもあったが、欠点はステージの迫力に打ち消された感じ。

でも、今この映画を恋人と見たいと思うかと問われると、選びたくはない。迫力はあるんだが、やはり悲劇だし、恋には悪影響があるような予感がする。家族と観たいとも思わない。

これは、ロックにしびれた世代の、思い出アルバムみたいな限定モノと考えたほうが良いかも。

 

 

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