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2008年12月20日

ブラザー・ベア(2003)

- 輪廻の発想 -

昨今のスピリチュアルなものに対する報道には疑問を覚える。昔もギボさんがよくテレビに出ていたが、この頃は江原氏が前世を占って診断している。名誉毀損めた事件もあったらしく、批判されたりもしているようだ。

テレビがからむと、途端にいかがわしくなる。

演出効果が優先されるからだが、出演する霊能力者の態度にも疑問を感じる。悩んでいる人と二人きりで話すのはいいと思うが、内容をベラベラ他人に喋っていいはずがない。本人が納得しているから何でも話して良いとは限らない。その人の家族が困ることもありえる。秘密厳守が原則だと思う。

占い、診断が正しいか否かは別問題である。どれだけ自分の能力に自信があろうと、テレビに出演すること自体が間違っている。

この作品は、古代氷河期の時代の人間と、熊のスピリチュアルな体験を描いていた。熊の母親を殺した男が、殺した熊の息子と旅をすることになる物語である。その際、自分の姿がスピリチュアルな能力によって熊の若者に変えられてしまう。

こんな設定は、かってアメリカの作品にあったろうか?少なくとも、多くはないだろう。

魔法で変身するのはよくあったが、たいていは魔女によってだった。神が直接手を下したらしきケースもあったが、この作品は神様というより、自然の中の原始的崇拝の対象、日本的な意味での神に近い存在によって変身していた。欧米的ではない。

このような変身ものは東洋の伝承物語にはたくさんある。ギリシア神話にもあったかも知れない。だから、この作品は日本では受け入れられるが、きっとアメリカでは微妙な反感を買うのではないか?キリスト教的な宗教観では描かれていないのだから。

この種の映画では、基本は悲劇的な結末の方が期待される。動物の姿をしているので、もとが人間であることに気がつかないまま親しい人に復讐をされてしまい、やっと天に昇っていくことができるという展開が普通である。ラスト近くで大きな悲劇があるとドラマの印象度がグッと強くなるので、名作と言われる作品を作りたいなら、そうすべきだった。

しかし、この作品はディズニーの伝統に則り、ハッピーエンドに展開されていた。したがって、名作にはなりそこなっていたようだ。逆に我々にとっては解りやすい話になった。家族で観ることもできると思う。悲しい結末でも、最後にちょっと救いがあれば後の印象が良い。恋人といっしょに観るのは、あんまり意味がないかも知れない。

輪廻めいた死生観が描かれていたのは、ディズニーのスタッフの間では、もはや日本的な感覚が普通になっていることを意味するのかも知れない。きっと日本のアニメを見すぎると、こんな作品を作りたくなるんだ。

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