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2008年12月14日

ジャスティス(2002)

- よくできた話 - 

ノルマンディ作戦直後のベルギーが最初の舞台。ドイツ軍の捕虜となったコリン・ファレルは拷問を受け、連合軍の燃料保管場所をばらしてしまい、良心がさいなまれる。

その後、ブルース・ウィルス大佐を始めとするツワモノが集まる収容所に送られる。彼は秘密を漏らしたことを悟られ、仲間には入れてもらえない。

そんな中、二人の黒人将校が入所してくる。収容所でヤミ取引のボス的な存在のコール・ハウザーは黒人を嫌い、ついに事件をでっち上げて、ひとりを処刑させてしまう。

残ったもうひとりの黒人将校は復讐を誓うが、コール・ハウザーが殺されてしまい、殺人容疑がかかる。ブルース・ウィリス大佐は、収容所内で軍事法廷を開くことを要請し、裁判が始まる。コリン・ファレルは、黒人兵の弁護士を担当する。

裁判が進む中、ファレル弁護人の調査により、黒人将校の無罪が明らかになってくる。では誰が真犯人なのか?ファレルには、ウィリス大佐から不当な圧力が加わり、どうやら大佐が黒幕らしいことが解る。ファレル弁護人はウィリス大佐の悪巧みを暴き、黒人兵を無罪にするくことができるのか?

・・・てな話だったが、どんでん返しが待っていた。よくできた話。脚本は完璧だったかも。

でもブルース・ウィリスは適役ではなかった。得意の目を細めるタフガイ顔も、それほどの迫力を感じなかった。もっと殺人者の迫力、悪の魅力がないといけない。誰が敵役だろうか?ちょっと前なら、ジーン・ハックマンだろうが・・・

憎々しげに演じて、観客の不興を買える俳優が本来の役割だったはず。ブルース・ウィリスはヒーローだが、それはダイ・ハードのイメージがそうさせるからで、ダイ・ハードを知らない人が観ると、必ずしもタフガイにふさわしくない。

今回は、ファレル弁護人を殺さんばかりに脅す怖さが必要だった。

コリン・ファレルは上手かった。役柄と雰囲気が合っていた。彼はアレクサンダー大王なんかは似合わない。凄腕刑事も似合わない。この役の青白い顔が良かった。

冒頭の拷問シーンの意味は最後になって解ったが、ファレル弁護士が皆の信頼を得ていなかった理由を明らかにするために必要なエピソードだったわけだ。実際に、あのような形で捕虜になる例は多かったのだろうか?多くは撃墜された空軍兵が中心ではなかったろうか?

ブルース・ウィリスの役柄は、カッコよすぎた。もっと奥の深い、悪人顔の俳優が演じたら良かったのに。主人公を痛めつけて、反感を買っても構わないようなキャラクターでないといけなかった。

敵のドイツの収容所長役は、結局は存在感が薄くなってしまった。これも、抜け目のない冷酷な男で、一見友情を示すように見せかけて、実は捕虜をだますアクドイ人間役が望ましかった。

目的をはっきりしないといけない。しぶとい敵は、あくまで憎々しげで、油断ならない人間として描かないといけない。どんでん返しを狙うなら、途中までこの上ない悪役を演じさせなければならない。

そのために、所長が捕虜達の裏をかいて、形勢が逆転するようなエピソードが欲しかった。攻守が入れ替わり、敵と味方が混在するのが話を盛り上げる要素だ。

例えば、連合国側に寝返るドイツ兵がいてもおかしくない時期だったはずである。保護を見返りに開放の交渉をする、あるいは裏交渉を同僚に見つかって虐殺されそうになる、なんて盛り上るはず。

タイトルもいかがなもんか・・。~収容所、~大佐などの方が、まだ興味が残る。

この作品は、恋人といっしょに観て楽しいとは思えないが、がっかりするほどのことはないだろう。「ダイ・ハード」が好きな人なら許してもらえると思う。子供には向かないような気がするが、純真な人は感動できる可能性がある。

いい映画だと思う。

 

 

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