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2008年12月 6日

ラヂオの時間(1997)

- 構成が素晴らしい - 

三谷幸喜監督による映画。舞台の題材を劇場映画化した作品と思える作風。

ラジオ局が公募したドラマの脚本に応募してきたのは、主婦の鈴木京香のみ。彼女は自分の願望をもとに恋愛物語を作ったのだが、これが採用されて、いよいよ本番という段になって、主演女優戸田恵子のワガママが始まる。主役の女の名前が嫌いで、自分はアメリカの女性弁護士役がいいと言い出す。

急遽脚本は書き直され、舞台はニューヨークと思ったら、マシンガンの効果音が絶対に必要というスタッフの意見で、それならと舞台はシカゴへと変更。さらに、シカゴには海がないのに、どうやってヒロインは難破するんだ?という問題から、ダムが決壊するという設定に変更。

ヒロインが弁護士なら、自分はパイロットがいいし、名前は思いついたドナルド・マクドナルドというワガママも飛び出したが、パイロットが遭難するとスポンサーの航空会社からクレームが来る。言い訳のために、パイロットは実は宇宙飛行士だったという苦しい設定変更、そんなこんなのドタバタ劇が繰り広げられる。

さらに、訪問してきた脚本家の主婦の夫、テレビ局のスタッフの間の諍いなどが話をどんどん複雑にしていく。かっての音響技師が今は守衛をやっているので、その人に頼んで奇抜なアイディアで効果音を作ってしまうシーンも楽しい。

非常に面白かった。複雑な話だが、構成がしっかり練ってあり、極端に無理は感じなかった。極端でやや無理だが、ありえる程度に意外な展開が繰り返されると面白い。やや気になったのは、ディレクター役の西村雅彦の恋人のアシスタントが、唐沢達の味方をするのはおかしいと思ったくらいである。

だが、全体的に舞台風の演技になっている。特に鈴木京香は完全にオーバーアクションだった。むしろ素人くさい下手な演技のほうが好感を持てたのではないか?一般人が示すような遠慮がちな演技に終始しても良かったのではないか?

もっとブスの女優でも良かったかもしれない。表情が大げさな、いかにもオバちゃんタイプの女優のほうがおかしく感じられたかも知れない。

唐沢寿明は逆に自然で、いつもテレビで見せている演技とは気迫が違う気がした。前半でのキャラクターが無愛想だったので、あんな不親切なスタッフ、確かにいるよなあと思っていたら、意外にも脚本家に共感して行動するという美味しい役だったことも関係しているかも知れない。

三谷作品は、多くの登場人物が複雑に絡み合い、ドタバタ劇を繰り広げるストーリーが多い。いかにも舞台で、大勢の劇団員が、それぞれの出番を確実にこなす総力戦タイプの作品である。その原点は、やはり「東京サンシャインボーイズ」の舞台なんだろう。

井上順や、細川俊之、桃井かおりなど、大勢の役者達がオーバー気味だが、味のある演技をそれぞれ見せていた。本当にたくさんの人達のアイディアと演技の総合力で映画を作った感じがする。

この作品は完成度が高い。きっと家族でも、恋人でも、いっしょに観て楽しかったと言える作品だと思う。

 

 

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