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2008年12月12日

ミクロの決死圏(1966)

- CG登場以前の傑作  -

東側から科学者が亡命してくる。ところが移動中に襲われ、脳内出血で意識不明の状態になってしまう。科学者を救うには、人間と潜水艇をミクロ化して体内に入って治療するしかない。

さっそく優秀な脳外科医と諜報員らを集めて作戦が決行されるが、何者かが妨害工作をやっているようで、治療の機械が故障したりして作戦がはかどらない。その他にも、動脈から静脈に流されたり、酸素タンクが空になって空気を補充しないといけなくなる、免疫蛋白が潜水艇にへばりついて船が動かなくなるなど、トラブルが続出する。

脳外科医は東側のスパイの可能性もある。美しい助手のラクウェル・ウェルチも何か怪しい。諜報員のスティーブン・ボイドはウェルチのナイスバディをモノにすることができるのか?・・という路線ではなく、真面目に任務を遂行できるのか?スパイの正体は?そして、皆が生きて帰れるのか?

この作品は、子供の頃には「サルの惑星」とともにSF映画の代表とも言われるような評価を受けていた。とにかくアイディアが良かった。

始めてテレビかなんかで観た時は、結構よくできてると思ったものだ。しかし、その後CGの技術が進化すると、笑える作品になってしまった。

人体の中を表現した映像は、当時としては素晴らしい出来だった。血球は油の塊がフワフワ浮く映像で表現していたようだが、きれいだった。医療人のスタッフがアドバイスしていたらしいが、おそらく当時の技術でできることは全部やったに違いない。

もし、今日この映画をリメイクするなら、相当凄いものができるだろう。

サスペンスタッチになるように、次々と難問が起こる展開も良かったし、それに対する対処の仕方も良かった。例えば動脈から静脈にシャントができていて、流されて目的地から遠ざかる時に、作戦を中止しないで、回り道しても行こうと決断するなんて、客は喜ぶ。

涙といっしょに外に出るアイディアも良かった。でも、泣いてなかったら、どうなるの?それに涙を採るときに、スライドガラスで隊員を圧迫して潰したら、しゃれにならない。

内耳から脳に抜ける道は、実はあんまりないと思う。内耳は脳に近いが、頭蓋骨の内部に埋め込まれたような構造なので、もっと小さくなって、細胞膜の分子の間をすり抜けるくらいまで小さくならないと、膜の向こう側の脳血管や髄液の中に入る事はできないはずである。

赤血球が見えるくらいの大きさでは、難しい。ミクロより小さなナノメーターの単位にまで小さくなって、ナノの決死圏で勝負すべきだったのか!

血液の中は泳いで進めないくらい粘性が強いのではないかとも思える。バクテリアのような活発な繊毛運動を人間にさせるなら、オリンピックの水泳選手を呼んでこないといけない。

音に関して言えば、心音や腸のグル音は凄く大きな振動なので、おそらく潜水艇内部の人間がミンチになるくらいの激しい動きがないとおかしい。中で会話するなんて無線がないと無理だ。

神経を圧迫するくらいの脳内出血があるなら、当然その内部は血液がぎっしり詰まっているか、とろけた血液による血餅で身動きもできない状況ではないか?レーザーを当てて塊を焼いたくらいで圧迫が取れるはずはない。

おかしいことだらけだ。でも、面白かった。

主役のスティーブン・ボイトは、ベン・ハーの悪役だったが、タフなスパイ役にはもってこいの顔をしている。本当は2枚目だったのだ。

相手役のラクウェル・ウェルチは当時のセックスシンボルなのだが、私が観たDVDには残念ながらヌードシーンはない。着替えのシーンがちょっとありそうだったが、あっさり画面がカットされていた。サービスを無視している。

共演者の中で、ドナルド・プレズンスが存在感バツグンだった。彼は後年、007のブロフェルド役や、刑事コロンボ「別れのワイン」?では、ワインを愛するあまり殺人を起こす人物役をやっていたが、本当に個性が光っていた。

しかし、配役としては彼が登場すると悪役と解るので、失敗だったかも知れない。意外な展開にしたほうが、客は感心するのではないか?

この作品、今でも小さい子は楽しめるような気がする。大人は、あまりのチャチな表現ゆえに、逆に面白く感じるかも知れない。ストーリー自体は面白いと思う。

 

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