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2008年11月22日

チーム・バチスタの栄光(2008)

- リアルさより面白さ  -

ある大学病院では、バチスタ手術の名手を中心にチームを作って成功率100%を誇っていたが、ある日から立て続けに2例の失敗があった。不審に思った大学当局は、院内の神経内科医に調査を依頼する。

担当になった内科医は助手の田口医師。外科手術には素人であったが、執刀医、助手、技師などのそれぞれに質問をする。さらに、なぜか個性的な厚生省の事故調査員、白鳥までが強引に捜査に加わる。

白鳥の独善的な捜査で周囲の反感を買いながらも、執刀医と病理医の間の過去のいきさつ、疲れきった麻酔医、出世競争に敗れた助手、慣れない看護師、自信過剰な若手医師など、それぞれの個性、問題点が明らかになってくる。

ついに3人目の失敗例が出た。ただちに全身の画像診断が始まり、思いがけない真相が判明する。

全体に重過ぎるテーマを、ユーモアたっぷりに描いてあった。

登場人物の個性が浮き立つように、動物を例にとって擬態化するのは良いアイディアだった。これは原作のアイディアだろうか?そうなら、本格的な小説家は恥ずかしくてできない使い古された手法だが、作者が現役医師ということで、好ましく受け取られたのかも知らない。

演じている役者も結構上手かった。

ただし、実際に事故が起こったら、皆自分を守ろうと緊張するものだが、それがないのは不自然だった。でも面白さを追求するためには、リアルさを狙わないのが正解だったかも知れない。

通常、手術に失敗したら家族には解剖を勧めるべきである。それによって自分達の失敗が明らかになっても、誠心誠意事実関係を明らかにする姿勢は大事だと思う。家族は辛いが、それによって第二の失敗を防ぐことができる。

少なくとも全身のCTは勧める。大きな異常なら解るからだ。今まで、私達はそうやってきた。映画では「死人の検査は断る!」みたいに言っている放射線科医師がいたが、普通は断らない。

原因不明の心臓停止患者でも、いちおうは頭のCTくらいは勧める。それで出血と診断した人が五人ほどいた。

視力に問題がある医師が執刀を希望することは、通常なら考えにくい。皆、一線から退くことが多い。やはり、自信を持ってやれない時には手術は怖い。

自分は手術の経験はないが、気管切開をしている間に心停止が来てあわてたことがある。「君も随分上手になったね、出血がないよ。」と褒められていい気になっていたら、「はて?出血がない?→血圧が低いのでは?」と、気がついて心拍モニターを見ると止まりかけている!

冷や汗がどっと出た。看護婦はモニターを見ていなかった!

不整脈の治療も怖いことがある。頻拍を抑える薬を使うと通常2~3秒間は心臓が止まるが、どうしたわけか5秒以上止まってしまったことが何度かあった。患者さんより青い顔になった。あの5秒は長く感じる。

白鳥捜査官は良いキャラクターだった。本来なら刑事事件にならないかぎり、院内の捜査に外部の者が入ってくる可能性は少ないが、話を面白くするためには彼のような存在がないといけない。

演じる阿部は、人の心を気にしないワガママキャラでテレビにも頻繁に出ているが、適役だった。

 

 

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