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2008年11月 6日

アラモ(1960)

- 駄作じゃないよ - 

テキサスのアラモ町には、教会の跡があった。メキシコからの独立を目差したアメリカ系住民は、独立を宣言し、アラモ地方の部隊は教会を要塞化する方針を立てる。

この地方の有力者は、ナイフ使いのリチャード・ウィドマークであるが、砦の司令官を務めるトラビスとは仲が悪い。決闘騒ぎを起こす。

かっての上院議員で、冒険家としても有名なジョン・ウェイン演じるデビー・クロケットも加勢にやってくる。独立を支持する気持ちが強いからだが、最初は砦に立てこもって玉砕するつもりはない。抵抗しようというのが狙いだ。

メキシコ軍がやってくる。大きな大砲を撃ち込まれてしまうが、特攻隊を結成して大砲の破壊に成功する。しかし敵の本隊が到着し、味方の兵士の犠牲が多いことから、婦女子を脱出させ、砦をいったん明け渡して、後方へ退こうかと考える。

今まで方針をめぐっては、隊長とウィドマークがことごとく対立していたが、決死の覚悟のトラビス隊長の姿勢にうたれた兵士達は、ついに玉砕覚悟で最後まで砦に立てこもることを決意する・・・・。

テキサス州がメキシコからアメリカに編入する時代の一大エポックを、思い入れたっぷりに描いた作品。アラモを忘れるな!の合言葉を生んで、この後のアメリカ軍のスローガンになった事件である。いわば、パールハーバーの先輩だ。

この作品は、西部劇の大スター、ジョン・ウェインが自らの財産を投入して製作したうえ、監督と主演も兼ねた大作らしい。今回、初めてDVDで鑑賞したが、聞いていた作品の評価は低かったものの、私は結構よくできていると感じた。

メキシコ軍の扱いは正当だった。正当すぎた。暴力集団ではなく、ちゃんと紳士的に行動し、勇敢に描かれていた。でも、作品の盛り上がりを考えれば、多少史実に反しても悪政や圧政を表現するために、何か悪事を描いても良かったのでは?

メキシコ軍が迫ってくるシーン、砦に突撃してついに壁を破られるシーンは、非常に迫力があった。敵に負けるシーンなので、勝利の盛り上がりはないのだが、非常にリアルで、撮影やエキストラの統制は大変だったろうなと思う。

ジョン・ウェインが喋りすぎなのが気になった。彼の思い入れのせいだろうが、作品の質を落とす結果になっていた。男は、あんまりしゃべってはいけないのだ。しゃべらないで、別の人間に説明させればいいのだ。特に政治的な話をクドクドしてはいけない。

つまり脚本や、視点に問題があったような気がする。史実に忠実に行くか、娯楽に徹するか、芸術に走るか、大悲劇として描くか、乾いた作風にするか、そのへんの詰めができていなかったと思う。

愛国心に直結するエピソードなので、思い入れが強すぎて冷静な判断が難しかったのかも知れない。できれば死を覚悟して抵抗する民衆を描くことに専念し、余計なものは除くべきだったと思う。

この作品の宣伝では、アカデミー賞を狙って「愛国者はこの作品に一票を!」といったキャンペーンをはったために、かえって反発を食ってしまったらしい。私が宣伝担当でもやってしまいそうだが、反応の予想は難しい。思い入れは、こんなことにも影響してしまうのかも知れない。

ジョン・フォード監督も撮影現場に現われて、いくつかのシーンを指揮したらしい。テーマが大きいので、無視はできなかったのか、個人的な友情か、作品の運命を心配したのか、でしゃばりかは解らない。

この作品は、家族や恋人と観ても、面白くはないと思う。でも退屈しのぎにはなる。各々のシーンは結構よくできている上質の作品だと思う。全体としての商品価値に問題があっただけだ。

メキシコにしてみれば、勝手に入植したアメリカ系の暴徒が、勝手に独立を宣言してるのを黙って認めるわけにはいかない。どんどん侵食して、カリフォルニアまで取られそうな暴力集団は、たたいておくべきだというのが当然の考え方だ。

さらには、インディアン達にとっては、勝手に侵入してきて人口を増やし、あたかも自分達の土地であるかのように戦争しまくるメキシコとアメリカの双方が侵略者である。アラモがどうなろうと、殺し屋集団の仲間割れ場所を気にする必要はない。

でもってアメリカ人にとっては、圧政をしくメキシコは我慢がならない悪徳集団で、権利をもぎ取るためには独立するしかないと考えたのだろう。どうせメキシコだって、インディオを殺して国を作ったんだから、正当性なんてない。だから俺らの権利を縛ることはできないぜい、ってな感覚か?

どっちの意見が正しいか解らないが、独立や革命の際の興奮、歓喜は映画の題材にはもってこいだ。「サパタ」「パンチョビラ」「大海賊」なども、なんとなくワクワクする。

 

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