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2008年10月 8日

ホワイト・ハンター・ブラック・ハート(1990)

Huston - 豪傑物語  -

このタイトルを聞いて、私は勘違いしてしまった。白人のハンターだけど、心は黒人という意味かと思った。つまり、アフリカを愛し、アフリカの現地人を愛した男の物語なのかな?と考えてしまったが、ブラックというのは悪い心を意味するらしい。

アフリカで象狩りをすることに取り付かれてしまった映画監督が巻き起こす騒動を描いた作品。モデルは「アフリカの女王」を撮影していた頃のジョン・ヒューストン。演じるのはクリント・イーストウッド。

まともに仕事をしようとする脚本家やプロデューサー達の忠告を無視して、監督は象狩りに熱中する。現地ロケの場所も勝手に変えてしまう。いっぽうで人種差別主義者には、たとえ相手が美女でもホテル支配人でも手加減せずに攻撃する。魅力と社会性破綻が混在したような人物。果たして象さんはどうなったのか?・・・

有名な監督ジョン・ヒューストン(上の写真)は、相当な豪傑だったらしい。この映画でクリント・イーストウッドが演じた映画監督はヒューストンをモデルにして、かなり実像に近い面があると言われている。チャイナタウンに出演していたが、なかなか役者としても迫力がある。

とにかく無茶でワガママな人間であった。借金が数十万ドルあっても気にしない、人種差別主義者に決闘を申し込むというところには感心するが、映画が観客に受けようがどうしようが気にしない、自分が作りたいように作るという独善にはあきれる。さらに象狩りに熱中して、撮影をすっぽかすなど、豪快だけでは済まないレベルに達している。

映画監督には、特に評価されて巨匠と言われるような監督には、結構ワガママな人物が多かったようで、様々な逸話を残している。

かの黒澤監督もひどかったらしい。天皇と言われるほどに尊大で、気に入らないスタッフはすぐクビにしたらしいが、完全に自分の予算で自分だけで映画を作って公開できれば良いが、実際には予算、キャスティング、撮影、衣装、手配、宣伝などなど、たくさんの人の協力でできあがる作品を、自分勝手にいじって良いはずはない。確かに良い映画をたくさん作ったが、クセのある表現方法も目立つし、興行的にすべて成功したわけではない。

世間ではワンマン社長の例には事欠かない。大会社に限らず、中小企業でも学生の体育会クラブでも、伝説を残すやつは多い。

尊大さは、自信の表れなんだろう。何かの成功体験が自分の能力を過信させる材料になって、他人の意見の軽視につながるのかなと想像するが、自分に自信がない私のような小心者には理解できない認識の仕方をしているようだ。

私は借金が嫌いである。すぐ不安になって返すことにこだわる。小心者、真面目と言えばまだ聞こえがよいが、偏執狂のように返したい、精神的に楽になりたいと考えてしまうのである。そんな調子だから、クリニックの開業や家を建てる借金の時は気が遠くなりそうな気がした。

こんな強迫観念がなければ、生き方は非常に自由になるだろう。誰がどう思っていても気にならない人物は珍しくはないが、極端な場合は、特にそんな人物が監督や社長、上司になったら、下のものは悲惨な状況になる。

そんな悲喜劇を描いて、面白かった。人物に嫌悪感を抱かれたら面白くなくなるが、この人物は特に人種差別主義者に手厳しい態度を取ることや、それなりの哲学と、美学を持っているように描かれていたからだろう、快男児という印象を受けた。

 

 

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