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2008年10月28日

恋愛手帖(1940)

- 少女の夢の結末は? -

1940年、サム・ウッドが「チップス先生さようなら」の次の年に監督した作品。これも主演がオスカーを受賞している。

ジンジャー・ロジャース演じるキティ・フォイルという女性の名前が原題になっていて、ベストセラーだったらしい。今ならなんてことはない恋愛物語かも知れないが、当時としては、特に日本人にとっては過激で、ハレンチ、ふしだら、積極的すぎる、これだから欧米の退廃した女は貞操観念がない・・などと評価されそう。

展開がよくできていた。非常に古い作品だが、今の恋人が観ても、意外に面白いのではないか?最初のほうで退屈さを我慢すれば、きっと最後には作品の出来のよさに納得すると思う。残念ながら、この作品は子供には向かない。

キティ・フォイルには、二人の恋人がいる。

一人はフィラデルフィアの金持ち一族の御曹司。かってキティと結婚し子供まで作ったものの、一族の反対を押し切れずに結局別れた過去がある。しかし、5年ぶりに会った彼からは、「自分といっしょに南米に行って暮らそう。」と持ちかけられる。

もう一人は貧乏な小児科医。当初は乗り気でなかった関係だが、相手の誠実さゆえに徐々に仲が深まり、ついにプロポーズを受けようかというまでに至る。

さて、いずれの男性を選ぶべきか?キティは、今まで自分に起きたことを振り返り、悩む・・・。古い置物の中の雪に見立てた白い粉が舞うたびに、話をつなぐことができる。

ジンジャー・ロジャースは、有名なダンサーのはずなんだが、もともとはバレーを本格的に習ったというより、ボードビリアンに近い存在らしい。でも、他の映画で見るバレエの踊りも素人には素晴らしいと思える。まともな演技の勉強をしたのか知らないが、この作品における演技は素晴らしい。オスカーにふさわしい。

きっとこの役をとるために激しい争奪戦が起こったように予想するが、詳しいことは知らない。ジンジャー自身も5回くらいの結婚、離婚を繰り返した女傑らしいから、役柄に合っていたのかも知れない。よく言えば自分の考えに忠実な女性像を見事に演じている。

女性にとって、誰をパートナーに選ぶかは大きな問題である。昔は特にそうだったと思う。若い頃はこの映画のように、「女は男がプロポーズするかどうかは勘で解るものよ。」と、自信たっぷりに言えた娘も、常に勝ち組になるとは限らない。

モデルのような美女も、結構売れ残っている例が多い。やがて、現実を知ることになるのだ。そして、「この程度で妥協しようかしら?」と、手近な対象で我慢するのだが、そのうち子供の世話で恋愛の問題など吹っ飛んでしまって、家事でアタフタしてるうちに、気がつけば恋愛が似合わない体型になっている厳しい現実。

客観的に見れば、キティが御曹司を選んだ場合は、しばらくは愛の生活を送れるものの、おそらく御曹司が経済的に破滅するか、逃げ出すか、連れ帰られるかが予想される。

もし、貧乏な小児科医を選んだ場合は、家庭は安泰かも知れないが、何か心に悔いのようなものが残るだろう。「あの時、御曹司といっしょになっていたら、こんな悩みはなかったのに・・」てな具合。下手すると、一生貧乏かも知れない。

さあ、キティの選択はいずれか?画面を観ていたら、あっさり笑顔で選んでいた。何かすがすがしい、当世風の笑顔だった。今日的な感覚を先取りしていたのだろう。

そういえば、映画の冒頭で、1900年ころから40年間で、女性の社会進出とともに女性の扱われ方が変ったということを、科学的に説明していた。しっかりした歴史感覚があるから、今を見通せたのだろうか?

さて、御曹司か、貧乏医者か?どっちだ!・・・それは映画を観てのお楽しみ。

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