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2008年9月30日

ライラの冒険(2007)

- 映画向きの題材か?  -

ライラの住む世界は、動物の精霊と人とがペアとなって生きる世界である。ダストという、言わば魂を作る物質のようなものが世界の鍵となっているらしいが、ダストの正体は誰も知らない。

ライラの叔父ダニエル・クレイグはダストの研究者であり、ついにダストが別な世界に流れ込む事象を発見したらしい。北の方角を目差して旅に出た。ライラも出発することになるが、その際に奇妙な羅針盤を渡される。

いっぽうで、ニコール・キッドマン演じる富豪の女も北を目差しているが、子供とその精霊を分離する実験に関わっているらしく、正体は不明。ライラを殺そうとはせず、親切に扱うが、羅針盤を奪おうとしている。

ライラは機転を効かせて、実験台の子供達を逃がすことに成功するが、敵の兵隊に囲まれてしまう。

・・・というストーリーだが、何を言っているか解っただろうか?このストーリーは言葉では説明しにくい。

まず、私自身がこの作品は全体として非常に難解だという印象を受けた。物語が我々の世界とは違って、人と動物がペアになった世界が基本になるというのが特異な設定なので、まずそれに慣れる必要がある。我々の世界との関係が、いったい今後どのようになるのか知らないが、今回は違う世界だけで終わっていたので、なんとなく親近感が湧きにくいからかも知れない。

映像は非常に美しかった。CG技術の進歩のおかげで、動きが自然な映像美を楽しむことができるようになった。今回のクマの戦い、人と魔女とが入り乱れる戦いの迫力は素晴らしいものだった。

ニコール・キッドマンの悪役も良かった。ただし、彼女は悪役にしては頬がふっくらしていて、凍りつくほどのクール・ビューティーという雰囲気ではなかった。でも、色々頭で考えながら、腹の内に何か隠している様子が表現できていて、まずまず満足のいくレベルだったと思う。

主役の女の子は、第一印象として、万人を惹きつける魅力を持っていたとは思えない。このような大作においては、スタッフの力で話はなんとでもなるので、主役に見た目の良さが求められる。可哀そうだ~、もしくは勇敢だあ~など、何でもいいのだが、一発で好きになれることが必要である。そうでないと、込み入った話についていこうと思えない。

原作の話は、もしかすると映画化することを設定していない内容なのではないか?

普通は、我々の世界から、違う世界に迷い込むパターンが多い。これは話が自然になることと、こちら側の世界で惨めだった主人公に皆が同情することができるという利点もあるからだが、最初からあちらの世界の少女の話とは・・・。

映画化する際の区切りに問題があったのかも知れない。

クマの王が戦いに勝つところで今回の話は終わっても良かったかも知れないし、前半部分を大幅に省略して、少女が何かを隠している→何を?→回想シーンで解説→少女は誰かを探している→誰を?→楽しく遊ぶ子供達のシーン→突然誰かに子供がさらわれる→といった整理がされたら、随分盛り上りも変っていたかも知れない。

映画用の演出もあったのではないか?

いきなり簡単に羅針盤が「はい、これ。」と、手渡しされると、有りがたみに欠ける。誰かが命に代えて渡すくらいないと、どれくらい重要なのか解らない。

今後、クマにどれくらいの比重があるのか知らないが、できれば怖ろしい暴れ熊として登場し、主人公と強い心の結びつきができる様子を表現して欲しかった。あまりに簡単に仲間になっていたような気がする。文章で説明されていたことを、映像だけで解らせるための、細かな工夫が欠けていた。

ハリー・ポッターのヒット以来、この種の壮大な夢物語がたくさん作られているが、正直なところ私は少々飽きてきた。我が家の子供もそうみたいで、この映画を観ようとは言わなかった。見なくて正解だったかもしれない。

よほどの映画好きでないかぎり、恋人に観るのを勧めることも止めたほうがよいと思う。よくできた映像なんだけど、まだ一作目だけでは、今後盛り上るのかどうかも解らない。

興行的に大コケだったらしいので、続編は無理か?

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