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2008年9月 3日

旅するジーンズと16歳の夏(2005)

Photo_2 - 小道具が良かった - 

この映画は、公開当時から評判が良かった。今回BS放送で運良く観ることができた。年老いた自分には評判ほどの名作とは感じられなかったが、きっと女学生が観たら感動ものの作品だと思った。

映画を観ながら、離婚が子供の心に与える影響を考えてみた。

日本人の家庭でも離婚は珍しくはなくなってきている。身の回りを見ても実に多い。私のクリニックの職員二人は、二人ともバツイチであるし、手に職のある女性達の離婚率は驚くほど高い。

昔より社会全体が豊かになっているので、我慢せずとも生きていけるからであろう。この作品では、プエルトリコ系の女の子が、父親が離婚して去っていくのを小さな頃に見てトラウマになっていたようだし、母親が自殺した女の子も同様であった。

不思議なジーンズを登場させていたが、特別な魔法を起こすわけではなく、ストーリーには何の関係もないままで、物語は本当にただの青春ものであった。

ギリシア系の女の子は、親の故郷のギリシアで仲の悪い家族の中の若者に恋をするが、一番おくてで冴えなかった彼女が、恋を通じていきなり大人になっていたことを、爽やかに描いていた。本当に爽やかで、きっと女の子達が好感を持ちそうなエピソードだった。

プエルトリコ系の女の子は、幼い頃に離婚して去っていった父親が突然再婚することにショックを受ける設定だったが、適度に醜い姿がいかにも実感が出ていた。あんな子いそうである。あの子が目立って美人であったら、話のバランスが彼女中心になってしまって良くなかった。

バイトのために街に残った子の演技は、ちょっとオーバーな感じを受けたし、エピソードも異質だったかも知れない。

サッカー好きの少女は、コーチに積極的にせまって成功したようだったが、急に母親と相談したくなるという不思議な精神状態に陥っていた。何か不安になる時に、同性の親の存在は大きい。片親の場合は、きっと不安をうちあけることなく過ごさざるをえないだろう。

演出はテレビドラマのレベルであったように感じた。深く精神分析をするような大層な物語ではなく、大事件も起こらない、コメディタッチの胸キュン体験ものでもなく、本当に大人しい健康的な成長物語であった。ディズニーより健全かも知れない。

ジーンズは良かった。

小道具のジーンズが旅をすることで、何か神秘的な雰囲気を出すことに成功していた。行動がバラバラになる彼女らを、完全にバラバラにしないで連続性を持たせるのに、ただの手紙だけよりも効果的だった。夢までいっしょに旅するような期待を持たせてくれた。

ただでさえ難しい思春期を越えるのに、家族の離婚や自殺などを経験した子は、余計に悩みが大きいのだろう。

思春期の少女は存在自体が生命力や夢にあふれ、魅力的である。たいした物語がなくても自然に語らい合っているだけで十分に絵になる。もちろん日本人の女子高生のおバカな会話では興ざめするが、それなりに純真で自分を亢めようと考えている娘達の話は、爽やかなものであった。

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