映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« ビフォア・サンセット(2003) | トップページ | キングダム(2007) »

2008年9月 7日

ルワンダの涙(2005)

- 国連軍のあり方は? -

ルワンダ内戦が舞台。ツチとフツの二つの部族が一触即発の緊張状態にある中、教会の神父と新任の教師が日々の仕事をこなしていた。

新任教師は利発で足の速い女の子を特に気に入る。「何があっても君を守ってみせる。」と約束する。

内戦が勃発する。

今まで同僚だった職員や、隣人が突然ブッシュナイフを持って襲ってくる。学校には避難のために大勢の人が押し寄せるが、周囲を暴徒に囲まれ、ついに白人達は国連軍といっしょに逃げ出すことになる。

白人達がいなくなれば、きっと虐殺が待っている。自分はいいから、せめて、子供だけでも連れ出せないか?懇願する避難民。教師と神父はどう判断するか・・・?

ルワンダの内戦については、最近まで全く知らなかった。

自分だけかも知れないが、アメリカがどこを攻めるか、アメリカのメディアが何を報じるかばかり注目してしまって、アフリカで住民同士が殺しあっても「殺し合いは無駄なことだ。もっと考えろよ。」程度のバカにした印象しか持っていないところがある。

アメリカと対決姿勢を見せる国があれば注目する。ただし、アメリカのテレビ局の言うままに、悪者、ならず者国家としてである。内部で何が起こっているのか、報道されなければ気にしない。そんな私であった。

ルワンダ内戦が最もひどい時期を過ぎた頃に、どうやら民族浄化と言うべき虐殺があったらしいと知ったが、知る限り日本が何か人道援助や国際的圧力をかけたということはないと思う。せいぜいODAのような開発援助くらいではないか?圧力のかけようもないかもしれない。

「ホテルルワンダ」は良い映画であった。主演の魅力もあってか、作品としての完成度が高かった。でも、この「ルワンダの涙」は主役が解りにくいせいか、完成度が高くなかった。重要度から言えば、主人公は神学校の若い教諭ではなく、校長である神父のほうであったろが、それが曖昧なままの印象を受けた。それが作品のデキに関係したように思う。

作品として盛り上るためには、観客が登場人物に共感しないといけない。テーマから考えて、キリストと同じように自らを犠牲にし、自分を殺そうとするものにさえ愛情を感じる神父は、もっと主役らしい比重で描くべきであった。完全にキリストとして描くべきだった。

もし新任教師を主役にするなら、神父の行動は客観的にあっさりと描き、いかにキリストのように行動できたかを描き、教師役が神父の最後の姿を聞いて号泣するべきであった。

神父の死に方にも問題があった。テレビの刑事ドラマレベルの死に方であった。キリストを連想させるために、苦しんで死ななければならない。必ずしも血まみれのメッタ差しになる必要はないが、観客の怒りを得るためには苦しむ時間が長い必要はある。

この映画の舞台は良かったのだが、残念ながら完成度は低かった。家族で観れる作品でもないし、恋人と観るような系統の作品とも思えない。

今後もアジア、アフリカのどこかで似たような部族紛争が起こると思うが、虐殺がないようにしたいものだ。国連軍のあり方を批判した映画が最近続いている。

介入しすぎて国連軍と現地の勢力との戦争にならないように、かたほうの勢力の手助けをして、もう片方の迫害を起こさないように、などと規制が多すぎて満足に活動できないことが問題であるらしい。たとえば、相手が攻撃してこない間は発砲できない。例え虐殺が行えわれようと、命令がない限りは間に入って、それを実力で止めることはできないらしい。

象徴的なエピソードがあった。犬が殺された人を食べるので、国連軍が射殺しようと言うと、「虐殺があっても、自分達が攻撃されないからと言って放置したのに!すると、今度は犬から攻撃でもされたのか?」と、皮肉られた。

今後同じような事態になった時は、非戦闘員に攻撃が及ぶようになった時点で介入し、中止させるべきだと思うが、圧倒的な兵力を持って抑止しないといけない。この映画の場合は、兵力が不足していた。

しかも民兵の場合は、戦闘員と非戦闘員の区別が難しいので、誰かを守っているつもりが、気がつけばどこかの部族を虐殺してしまっていたりすることもありえる。逆に、攻撃されるのを待っていれば、取り囲まれて撤退するしかなくなる。無言で力の圧力をかけないといけない。

大国間の代理戦争が多かった時代は、確かにやりようがなかった。片方が共産主義勢力だと、ソ連対アメリカの争いになってしまう。今も資源に関する利権が絡むと、そちらが優先されて、人権は後回しになることに変りはない。

ルワンダの場合は石油資源はないと思うので、その影響は考えなくて良いはずだが、何かイギリスの権益がからむ産物があったのか?イギリスの諜報機関が出入りしていたところを見ると、何か思惑があったはずである。隣国と代理戦争をさせたかったのか?詳しくは知らない。

状況を短期間で判断し、虐殺を未然に防ぐために現地で早期に対応できるようなシステムを作ることは可能だとは思う。でも現実には・・・・

 

 

« ビフォア・サンセット(2003) | トップページ | キングダム(2007) »