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2008年8月18日

天使にラブソングを(1992)

- 意外に感動  -

場末の歌手、ウーピー・ゴールドバークはマフィアのボスといい仲だが、偶然殺人現場を目撃してしまう。こうなると口封じに消される運命なので、警察に頼んで身柄を隠すことになる。隠れ家は尼さんが修行する教会。

信心など全くないゴールドバークは完全に異端児で、周囲との摩擦を起こすが、コーラス指揮に関しては才能があるので、賛美歌合唱団の指導に当たる。

ところが、これが評判になるほどの出来で、彼女の存在がマフィアに嗅ぎつけられてしまう。銃を持った殺し屋が彼女をねらう中で、発表会が開催されるが、彼女は逃げおおせるのか?

ウーピー・ゴールドバークは歌手ではないのだが、この作品では結構上手に歌い手役をこなしていた。もちろん本物の大物シンガーと比べれば魅力に欠けるが、演出効果もあったのだろう、場末の歌手の雰囲気は出ていた。

この作品は家族で観ることができる。殺人のシーンもあったが、どぎつくはなかったので、子供が見てもそれほど影響が出そうな気はしなかった。合唱のシーンは、あまり期待しないで観たためか感動するほどのレベルだと思った。声の迫力で感動させるのである。

曲も良かった。一般にはオールディーズの名曲として知られている曲を、彼=キリストに置き換えてゴスペル調に代えて、立派な賛美歌にしていた。くだけたラブソングの歌詞が、神への賛美になってることにも驚いたが、よく考えてあった。

本当のゴスペルばっかり聞かせる真面目映画ではないので、彼氏彼女と観ても楽しめると思う。曲はオールディーズだが、かえって新鮮かも。

何かをトレーニングして成功する物語は、なぜか我々までが何かを成し遂げたような錯覚に陥る。下手くそで諦めていたような連中が、徐々に練習で上手くなり、一流と目されていたライバル達の邪魔をはねのけて正々堂々と戦い、ついには勝つというストーリーであるが、いつも、ついつい達成感をいっしょに味わってしまう。私だけか?

この作品は、完全にこのパターンだった。日本ではスクールウォーズ効果ないしは、フラガール効果と言われているが、あちらではベアーズ効果、ロッキー効果などと総括されているようである。私だけではなく、酔わされやすい連中がいるんだろう。

加えて、ギャグも良かった。

悪役のハーディー・クリューガーや、変な顔の刑事役、シスター達のキャラクターが良かった。シスターの中でオペラみたいな発声をして調子を外す人は、ディズニー映画でも出てくるような典型的な盛り上げ担当者であったが、だからと言って別にしらけるような印象は私はなかった。この人だけでなく、か細い声でしか歌えなかった女がリードボーカルをこなしてしまう話なども効果的だった。

話は完全に安易な出来過ぎで、冒頭で大体の流れが解ってしまうが、この種の映画では構わないと思う。パターンにはまったギャグで、ある程度笑えるのが狙いだ。その上で勝負に勝ち、連帯感を抱ければ、最高にハッピーなサクセスストーリーである。

この種の映画では、主人公は優等生ではダメ。アウトサイダー的な、ワルのイメージを持つ人物でないといけない。一般的にはエリートとはほど遠いが、したたかで、逆境に強い。不可能と思えることを、確信を持つリーダーとして活動していく中で可能にする。これはもう普遍的なリーダー像である。そんなイメージに、今回のゴールドバークの役は完全にはまっていた。

続編も作られたが、私は一作目のほうがコーラスのデキが良かったと思う。

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