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2008年8月 1日

スタンド・バイ・ミー(1986)

Photo - 懐かしさと達成感  -

主人公の少年と、仲間の計4人が旅をする物語。旅の目的は、仲間の一人が見かけたという死体を捜し、警察に届けてヒーローになること。旅といっても、一泊で歩いていける程度の探検なのだが、少年の足では大変な距離なので、近道をとることになった。

ところが近道には沼地のヒルの攻撃や、線路で機関車に追いかけられるなどの怖い体験が待っていた。仲間同士で、ちょっとした諍いもある。さらに、怖いお兄ちゃん達が待ち構えていて、手柄を横取りしそう。冒険は無駄に終わるのか・・・?

スタンド・バイ・ミーは、曲が昔から有名だった。曲自体が相当古いので、懐かしいという感情を生む。作品の中でも随所に使われて盛り上げていた。懐かしい雰囲気を作るのに効果的だった。

この作品は、家族で何度か観た。テレビでも数回観たような気がする。でも子供達は、自分ほどは感動してくれなかった。この作品は大人が自分の子供時代を懐かしんで見る映画なので、子供にはピンと来ない面はあるのだろう。恋人となら、きっと楽しめる。少年少女の時代を過ぎていれば、楽しめるはず。

子供だけで野宿しながら冒険に出ても、あちらの親は怒らないのだろうか?アメリカは広いので、どんなヤツがいるか解らない。大人でも簡単に撃ち殺される可能性があるし、ましてや子供達だけでは危険じゃないか?

親といっしょでなく、子供達だけで行動した日々を時々思い出す。

「今度、あの山を越えてみようぜ。」「えーっ、アレを越えるのに1日で済むかいな?」「大丈夫、5時間くらいで行ける。」「行った事あんの?」「ない。」「じゃあ、なんで大丈夫と解るの?」「なんとなく。」なんて話しながら、半分恐々と行くのが楽しい。

私の子供時代は、よく年長の子供といっしょに遠くまで出かけていた。道のない野山を探検して、本当に遭難しそうになったこともある。木や崖を登っていて、あやうく死にそうになったことも何度かあった。あんな危ないこと何でやったのかと今は思うが、当時はメンツにかけても付いて行かざるをえないと信じていたのだ。

親は忙しくて子供達に目が届かないし、当時は子供の数が多かったので、誰か世話をしてくれる年長の子がいたもんだ。とは言っても子供なんで、気がつかなくて怪我人が出ることも多かった。いつか足の傷の数を数えたら、100箇所を越えていたので、自分で呆れてしまった。

そんな私達でも、野宿はしなかった。蚊に刺されるのは嫌だったし、山の中だから雨が降ることも多く、やはり屋根のないところは遠慮したいと考えていた。この映画の少年達は勇敢であるが、気候の違いもあるかも知れない。日本でなら重装備しないと病気になる。

この作品の中でも、子供達は何度か危険な目にあっていた。機関車が鉄橋の上で襲ってくるのが最大の危機だったが、沼地を越える時、犬やヒルに襲われた時、そして目的地で「24」の主人公にガンつけられてビビった時。

しかし、それらを乗り越えた時は、何とも言えない充実感が得られる。それは観客も同じだった。観客に達成感を与えることができれば、冒険映画は成功である。この映画は、だから大成功であった。名作と言える。

田舎の村でも徐々に道が整備されて、その反対に林業が衰退して山の中に誰も行かなくなると、今度は山に行く道すらなくなってしまった。昔は、それなりに道があったから奥に行ってみるという気にもなったが、今はジャングルに入るような覚悟をしないと行けない。

今なら、本当の山の中ではなく、丘くらいの場所で冒険するしかない。でも、街中でも形の違う冒険はある。ゲームなんかしないで探検してほしいのだが、私の子供達はやってくれない。

さて、冒険が終わって、少年達が別れる場面が最高だった。じゃあなって言いながら、充実感と連帯感を感じつつ、心の中で俺はお前を割と気に入ってるぜって言っているような感じである。

リーダー格の少年と眼鏡をかけて生意気な感じの少年は、家庭には恵まれていなかった様子。この冒険の後では、親しい付き合いではなくなったとナレーションがあったが、子供の頃から同じように長く付き合うのは本当に難しい。

学校が違っても同じように付き合うほど暇がないことが理由だろう。友人より女の子や受験、仕事のほうが優先される。今の私は子供と時間を作って遊ぶことで手一杯である。

毎日のように遊んでいた友人達とも音信普通になってしまっている。世界が違うわけではないのだが、田舎には職場がないので、出て行かざるをえないのだ。残念でならない。

ある日、用水路を探検しようと誰かが言い出したことがあった。

排出口から入ったは良かったが、だんだん周りが暗くなって、ついには完全に真っ暗な土管の中を進むはめになった。先頭を行っているヤツが置き去りにされるのを恐れて、「~チャン、来てるよね?」と、繰り返し聞いてくるのが面白かった。

いたずらで「俺達は帰る。」って返事をしたら、泣きそうな声になった。冗談めかしていたが、私には彼が本当に不安を感じているように思えた。いたずらしながら自分も不安だった。もし、この先が人間が出れない構造になっていたらどうすんだ?暗闇の中で逆戻りできる自信はない・・・。

結局無事に出られたが、達成感のある冒険だった。「あの時、お前本当に泣いてたろ?」「まさか。」などと笑いながら、皆が誇らしそうな表情をしていた。そう、ちょうど映画の中の別れ際と同じような表情だった・・。

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