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2008年7月28日

魔法にかけられて(2007)

Photo_2 - ディズニー的 -

昔々、ある森にディズニーの伝統的お姫様がいました。姫はある日、すてきな王子様と出会いましたが、王子に王座を奪われたくない継母の魔女によって現代のニューヨークに飛ばされてしまいます。

童話と違って現実の町は皆が不親切で、姫は頭のおかしい女の子としか見てもらえません。やっと運良く、人の良い父娘に拾われて生活することになりましたが、勘違いした父親の恋人やクライアント達によって、父親はひどいめに遭ってしまいます。

いっぽう、姫を追って王子や女王の家来や女王までがニューヨークに登場し、セントラルパークや、パーティー会場などを舞台に、歌と踊りと魔法の大スペクタクル、乱舞乱舞のオンパレードのディズニーワールドを繰り広げます。

魔女は白雪姫を倒した時と同じく毒リンゴを使って姫を永遠の眠りにつけようと画策し、ついに姫がそれを口にした時・・・

・・・てなストーリーでした。

歌のシーンで最も大がかりだったのは、セントラルパークを舞台に、いろんな人種が入り乱れて歌い踊る「That‘s How You Know」のシーンだった。広い場所に数百人のダンサー達が入り乱れて踊るのは練習がたいへんだったろうが、ミュージカルとしての出来がよく、本当にレベルの高い仕事だった。ディズニーのパレードを大がかりにしたような感じ。

メイキング編を見ると、広いスタジオを使って部門別にリハーサルを重ねたらしい。昔からディズニーのミュージカルに出演していたダンサーが、老人になっても美しい動きをしているし、若いストリートダンサー風のタレントも多く参加していたようだ。

動物達が掃除をしてくれるシーンも実に手が込んでいた。調教師によって仕込まれた実に細やかな動きが撮影され、それらを組み合わせてひとつのシーンにする気が遠くなるような細かい作業が、音楽に合わせていとも簡単に作られたように見える。職人達の技術のレベルの高さを知ることができた。

細かいギャグが多かったが、ディズニー作品を全く知らない人は大変な少数派なので、ほとんどの人はパロディだと解る仕組みになっていた。

町で小人と出会った姫が、7人の小人の‘怒りんぼ’と勘違いして声をかけるが、単に不機嫌な小人症のビジネスマンだったというのは笑える。王子が「姫~!」と声を張り上げる場所は自転車用の道で、皆が次々ぶつかるというのも、お約束のギャグだった。

動物達といっしょに掃除しようと声をかけたら、集まってきたのはネズミやゴキブリ、ハエだったというのも笑える。

アイディアあふれる作品だと思うが、ちょっとつまずいたか?

まず、「魔法にかけられて」というタイトルには納得できない。かけられて・・とは、普通使う言葉ではないからだ。私がコピーライターなら、できればプリンセスという言葉を使いたい。「プリンセス・イン・ニューヨーク」「プリンセスと魔女」「眠れる森の白雪姫」なんかどうだろう?笑われるかな?

主役の女優、エイミー・アダムスが姫様のイメージに少し合わない印象がある。踊りが上手く、声も良さそうだが、お姫様のパロディを演じるためには、際立つ個性があったほうが良いように思う。例えば非常に男っぽい、言葉使いが荒いなど、ギャハハと笑える個性があったほうが受けると思うのだ。

年齢が少々高くて歌が下手でも、大物女優だったらおかしかったのではないか?ニコール・キッドマンなんか姫より魔女役が合いそうで、登場しただけで笑えると思う。イメージと食い違えば面白い。若い有名女優ならナタリー・ポートマンかスカーレット・ヨハンソンだろうが、かわいらしい彼女らがひどいめに遭うと、これまた笑えると思う。歌は、曲の勢いでカバーできるはず。

どういうギャグを出して、どんな客層に、どんな印象を与えることを狙うかについても、詰めが足りなかったのかも知れない。充分にヒットした作品だが、もっと世界的なヒットを飛ばすこともできたかも知れない。

少女達をターゲットにするなら、もっとロマンティックな路線を狙ったほうがいい。動物がギャグめいた行動をとることで笑いたいなら、ドクター・ドリトルと同じになるので、明らかな差がないと受けないと考えたほうが良い。家族で安心して観れることを狙いたいなら、思い切り勧善懲悪路線を狙わないといけない。ストーリーを変えないといけないだろう。

姫が本当の生き方に目覚めることに感動して欲しいんだったら、涙なしで見れないくらいの盛り上がりが要求される。ストーリーと盛り上げが合致していなかった。ロマンティック・コメディには、ほんのちょっとしんみりした味付けが必須なのだが・・。

最初から大傑作を狙ってはいなかったのかも知れない。でもアイディアも技術も優れていたので、結構な傑作にはなっていたと思う。

歌と踊りと、CG効果だけを観たとしても、充分に価値のある作品だった。恋人と観ると楽しいだろう。子供達と観るのもいい。小さい子には適度にロマンティックである。

 

 

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