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2008年7月16日

ラストキング・オブ・スコットランド(2006)

Photo - タイトルがいい  -

よくできた映画だと思う。

タイトルが素晴らしかった。イングランドに対抗意識を持つスコットランド人を意識したものだったが、最初に聞く人は、古代の活劇を描いた映画か?と勘違いするかも知れない。

この映画は家族では観ないほうが良い。リンチシーンもあるからだ。恋人と観るのは、ダメではないが、これもオススメとは言いがたい。一般受けするためには、もっと視点を変えないとダメだろう。

アミン大統領は、もう随分昔の人になるので知らない人が多いのではないだろうか?軍隊でボクシングの猛者だったからモハメッド・アリに挑戦したいと発言したり、欧米諸国を敵に見立てて激しい口撃をしたりしていた。発言が過激だったことで、一種のヒーローめいた印象を持った時期もあったが、大多数の日本人にとっては何の関係もないままで終わったのではないかと思う。

そのアミン大統領時代に、激しい反対派の弾圧のために虐殺行為が行われたことは、後になって知った。当時も今もそうだが、アフリカ諸国では民族がたくさんある関係で、何かあるたびに激しい虐殺が起こることが多い。最近のソマリアやスーダンあたりもそうらしい。我々には理解できない感情が働くのだろう。

この映画の主人公は、ラストでリンチに遭ってしまう。それはそれは激しい。胸に釣り針みたいなものを刺されて、つるし上げられるのである。日本人にはちょっと理解し難い。日本の場合は、せいぜい首をちょん切る、刀で腹を刺す、棒で殴るくらいだが、家畜を扱うのが日常の民族は、やることが肉屋風になってしまう。残虐であるのに変わりはないのだが・・。

主人公がなぜアフリカの小国に行くことになったか、アミンに魅せられたかは、この映画でうまく説明されていた。

でも肝心のアミンは、私にはちょっと迫力不足のように写った。暗殺されかかることなどで、部下をも疑うようになること、反対派に対抗するために次第に過激化していくところはうまく表現できていたが、その際の狂気、殺意、迫力の表現には欠けていたような気がする。それは、おそらく主演のウイッテカーの目力のためだろう。

彼を知ったのは、最初はスピーシーズの予知能力者役だった。あの時は変な目つきをした性格俳優として存在感があった。しかし、アミン役に最も必要なのは、ぎらついた目だと私は思う。演技力だけでカバーしきれない、目の力が必要だった。

イギリスの政府系機関が暗躍する様子などは、非常に解りやすかった。映画制作の上での重点の置き方は適切だったと言えるだろう。

考えてみれば、ソ連軍を混乱させるためにイスラム原理主義に力を与えてしまう、またはイランに対抗するためにイラクを援助して、そのために今度はイラクを攻撃しなくてはならなくなるというように、欧米の政策が現地の住民の弾圧に関わっているケースが多い。

介入すること自体が状況を悪化させるなら、やらないほうがいいのか?という逡巡が、最近の国際的軍事活動では目立つ。その結果、また虐殺の歯止めが効かないという悪循環。虐殺する側にとっては、外国の介入は主権侵犯に他ならないと訴える格好の材料であるし、介入に反発することで、かえって過激化させる傾向も間違いなくある。

国連が明文化した介入の規則を作れれば、このような悪循環、過激化は少なくなるのかも知れない。

 

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