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2008年7月20日

グッド・シェパード(2006)

001 - よき羊飼いの運命  -

ロバーット・デ・ニーロ監督による、CIA長官をモデルにしたスパイ映画。といっても激しい銃撃戦や007もどきの活躍があるわけではなく、主人公の諜報部員の家族の問題が話の中心になっていた。主演は若手の演技派代表格のマット・デイモン。奥さん役はセクシー女優ナンバーワンだったアンジェリーナ・ジョリー。デ・ニーロ監督も、大物役人の役で出演している。

聖書には様々な「よき羊飼い」が例えられているが、キリスト教徒でない自分には欧米の人達のようなイメージができない。

よき羊飼いは、まず羊のために自らの命をおとすことができる。さらに柵を乗り越えて牧場に入ろうとはせず、門から入る(柵を乗り越えるのは泥棒である)。そして、99匹の羊より一匹の羊の命を救うという例えに代表されるキリスト教精神の深い部分など、様々なイメージが混在したタイトルではないかと思う。

でも国家への忠誠心(神との契約にも似ている)のために、いかにKGBの手先とは言え、花嫁を飛行機から突き落としていいのか? 一人のキリスト教徒のために、99匹のイスラム教徒を殺していいのか?。

羊飼いも、のんびり羊だけを見てればいいわけではなく、大変難しいのである。ブロークバック・マウンテンでも難しかった。うっかりしていると、オカマをほられるのである。

自分の息子から情報が漏れていたことを知り、しかも、それをネタに敵の情報機関の手先になることを求められたら・・・、ちょうど神との契約を試されたアブラハムのような心境であろう。自分の子を生贄にするのか?このへんも、キリスト教徒と‘異教徒’の私とでは感じ方が違うだろう。

この作品は、子供には全く向かない。恋人とならいいかも知れないが、将来の自分達の結婚生活の現実を思いやると、あんまり有り難くないストーリーであり、観た後に沈黙してしまうかも知れないのでオススメではない。家族で見るのも、何か不幸な気持ちになるので良くない。

この作品はゴッドファーザーに近い重厚な雰囲気があるが、家族愛の重要度が違う関係で、観た後の印象は全然違う。同じようにアメリカを愛し、命がけでギリギリの戦いをしたのだが、その評価は映画の評価と同様、高いとは言えなかったようだ。映画の興行成績も良くはなかったみたいである。家族を中心に描くように、重点を変えていたら違った結果になったろうに。

主演のマット・デイモンは年齢が解りにくいメイキャップで、最初からずっと同じ格好をしていたみたいだが、せめて白髪くらいは調整して年齢の表現をして欲しかった。逆に、アンジェリーナ・ジョリーは、この作品になぜ出演したのか解らないくらいの役柄だったが、奔放な娘時代からシワが増えて冷め切った中年まで、非常に上手く演じ分けていた。

製作者の中にはコッポラも入っていたが、監督はロバート・デ・ニーロがやっていた。演出法に特別な問題はなかったと思うが、際立って優れたものもなかったような気がした。マット・デイモンに観客が同情してくれないとヒットはありえないし、作品の印象が高くなることもありえない。したがって、いかに冷静沈着であっても、隠れて恐怖感や苦渋の表情を見せないといけない。その点が、不充分であったと思う。

作品の雰囲気は重厚で、高級な感じが漂っていた。ラストで勝利する形にできれば、達成感が感じられたと思う。アメリカを影ながら守っている情報局員に、少しくらいはエールを送ってもいいと思う。

ただし、農園にバッタを撒き散らしたりするのはヒドイ。

日本の政界への働きかけも強力で、いまだに首相を長くやれるのはアメリカが敵視しない人間だけという状況が続いている。反アメリカを打ち出そうもんなら、何かのスキャンダルが暴露されるか、反対派が急に勢いをつける歴史が続いている。彼ら情報機関の努力のたまものだろう。

今後はロシアともそうだが、中国の情報機関とも戦わなければならないだろう。だが、中国も何でもありの国なので、恐ろしい事件が起こるような気がする。おかしなことが起こった時は、かならず諜報機関が暗躍していると考えても間違いではないかも知れない。

そういえば小沢民主党代表が、突然自民との連立を提案したことがあったが、明らかに常軌を逸していた。なぜか長期間権力を維持できる大物記者が仲介したらしいが、要するにアメリカとしては日本の政党がアメリカ寄りで連携して欲しいので、諜報機関員が働きかけたと考えるべきだろう。

なぜか田中角栄の娘や後継者の小沢をアメリカは敵視しているようだが、民主党が政権を取っても反アメリカに急展開するはずはなく、詳しい事情が解らない。彼らのファイルに、「小沢=×印。反アメリカ的人物。政権から追い出すべき。」と、誤記されただけかも知れない。

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