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2008年7月 6日

2001年宇宙の旅(1968)

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- 不必要に難解 -

この作品は、映画関係者に強い影響を与えたはず。その後の映画に、部分的にせよ様々な形で、この作品のアイディアが盛り込まれている。原作者のアイディアと、映像を作ったキューブリック監督の個性とが相乗効果を生んで、斬新な作品になっている。

でも、個人的には未完成の、青臭い実験映画のような印象を受けた。見返してみるとアラのようなものを感じる。全てを計算した構成ではなく、感性の趣くままに作ったとでもいうような印象を受ける。そこが芸術家達にはたまらないんだろうけど・・。

アラのひとつは、サル達の演技力にある。明らかにおかしい。当時の技術では、メイキャップに限界があることは誰でも解っていたと思う。したがって、後世でも通用する作品を作りたいならサルはあきらめて、人間に近い顔つきで勝負すべきではなかったか?それなら、無理にサルの動作を真似なくて良い。

そして、サルのシーンは本来なら話の筋には関係ない話である。単に不可解で、意味深長なイメージを作るためだけのシーンであった。唐突に登場する‘壁’に意味を持たせるためのシーンとしては非常に効果的だったが、表現の上手さには疑問を感じた。

コンピューターの「ハル」が、本当の主役だった。

Photo

コンピューターが暴走し、人間をはじき出そうとする映画がたくさん作られたが、この作品はオリジナルに近いと思う。機械が自分で判断できたら、人間を排除するのも成り行きだと考えるのは当然である。軍事を管理するコンピューターの暴走が悲劇を生むという映画は山ほどある。

ハルが読唇術で自分を止めようとする人間に対抗するというのが、非常に上手く表現されていた。さらに、自分を止めようとする飛行士に話しかける言葉が徐々に低音に変っていくシーンも素晴らしかった。

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サルが投げた骨が、ロケットにつながるシーンも良かった。アイディアあふれる映像だった。でも、「武器を得た!」という意味からいけば、骨→刀→銃→ミサイル→核爆弾の爆発のほうが良かったのでは?

音楽は本当に最高だった。難解な作品の目差すイメージにピッタリで、この曲で作品の質は格段に上がったと思う。

作品の中で登場する‘壁’については、評論家たちも首をひねっていた。その後作られた続編では、あの壁がたくさん集まって木星が恒星に変るというストーリーだったと思うが、そんな結末は面白くない。非常に象徴的だが、不可解で、意味は誰も確信を持てないままで良いと思う。そのほうが作品の質が上がるのは確かだ。

不可解なシーンは、他にもある。

サイケデリックな模様が延々と映し出される、例のシーンである。主人公らしき宇宙飛行士が、幻覚のようなシーンの後に、自分の老後や赤ちゃんの映像を見て終わるという流れだったが、「だから何?」と感じる客もいるだろう。

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印象は強いが、意味は不明。あえて詳しく解りやすく説明しないという姿勢は、芸術家にはよくある態度である。それで熱心に考えてくれる客にとっては満足感につながるが、アホな客にとっては時間の無駄でしかない。真の芸術は、もっと違うやり方で表現を目差すと思う。

傑作と言われるこの作品を、じゃあどうすれば良かったと思うかと聞かれると、よく答えられない。いろいろ考えること自体が、この作品を不必要なほど難解に作った製作者の意図だったのかもしれない。

いろいろ議論してもらうことで、単純だったストーリーを意味深く検討してもらえる効果を生んでいる。製作者の術策に、まんまとはまったのであろうか?

 

 

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