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2008年6月 6日

ブレイブワン(2007)

Photo - 女版、狼よさらば -

実際に犯罪でひどいめにあった経験がある人は、きっと復讐したいと感じるはずだが、法律は犯罪者を保護する方向に規定されているので、犯人と解っていても手出しできない可能性はある。

特にアメリカのような広大な国で、基本的に他人に無感心な環境では、近くで犯罪が行われていても気がつかない、犯人の特定が難しいなどということは多々あるはず。証拠不充分で保釈、野放しになって口惜しい思いをする人も多いだろう。

恋人を暴漢に殺されて復讐を謀る物語は以前にもあった。チャールズ・ブロンソン主演の「狼よさらば」が代表だろうか?しわだらけのブロンソンが、チンピラのような犯罪者達に銃をぶっぱなし、つぎつぎと殺していく、無差別?復讐の物語だった。

復讐物語は日本のテレビドラマにもあった。ちょっと題材が違うが、覚えているのは、確か赤井秀和が子供を殺されて学校に復讐する話だったが、私も子供が殺されたら平気ではおられないだろう。

しかし、一見犯罪者風の風体で、実は単にからかっているだけの若者が混ざっていたら、ちょっかいを出しただけで殺されていいのかという問題がある。突き詰めて考えていくと、結局やられるまでは手出しできない、でもやられてしまえばオシマイというジレンマに陥る。

実は、うちの診療所には以前から無断駐車する車があるが、道路以外に止めてある車には警察も手出しができないそうで、相談した警官もとりあってくれなかった。もちろん個人がナンバーから相手を調べることもできない。そんなことをすると、個人情報保護法にひっかかり、こちらが犯罪者になるそうである。

よく「無断駐車は1万円いただきます」といった看板があるが、あれには法的な拘束力はなく、「俺は払わないよ。」と言って立ち去っても全く構わないそうである。管理者の権利を保証する法律がないとは驚きだが、犯罪に結びつく行為であっても基本的に犯罪前の段階では何もできないし、犯人を特定できなければ何もできないのが現実である。

腹が立っても、車に傷をつけるわけにはいかないので、レッカー移動もできない。ましてや車の窓を開けて勝手に移動することもできない。腹立たしい。

腹立たしいジョディ・フォスターには武器があった。やはり拳銃があれば便利である。アメリカライフル協会が支持を集めるのには、確かにそれなりの理由がある。ただし、協会員が殺人者となる場合が多い可能性もあるが。

銃で武装すると、相手もエスカレートするという問題がある。犯罪者達も頭が悪い。ジョディ・フォスターなんか、レイプした後にすぐ殺しておけば復讐されることもなかったのに。用心のために復讐できないように徹底的にやるといった具合に、敵も過激になっていくだろう。

この作品は、子供には見せない方が良い。簡単に復讐に走るのは、賢いやり方ではないからだ。やられっぱなしは、もちろん良くないが・・・。

恋人といっしょに観るのは悪くない。

「俺は君を傷つけたやつを、けっして許さないからな。」なーんて言うと、「あら、この人、私を心から愛しているのね。」と思ってくれるかも。でも実際には、こんな男が一番彼女を傷つける可能性が高いのだ。

ラストは、あれで良かったのだろうか?多数決を取ったら、きっとジョディ・フィスターが逃げきってくれることを支持する人が多いのは間違いないが、やっぱし彼女の行動は犯罪行為には違いない。最初の殺人は正当防衛だろうが、2件目は獲物を探していたので、殺人の意図があった。3件目は、明らかに証拠が挙がってる。

彼女の心の奥の深い怒りや、悩みがうまく表現できていただろうか?何かエピソードで精神的な変化をうまく表現できれば良かったのだが、そのへんが不足していたような気がする。彼女は製作にも関わっているそうなので、ほぼ自由に感情表現をできたはずなのだが、何が不足していたのか?

もしかすると、単にもうちょっと若い女優が主演してるだけで違った印象を与えたのかも知れない。彼女はもう母親役の世代である。もっと若い女優に道をゆずるべきだった。

事件後に適応障害、PTSDの症状が出て、激しく悩むことを、もっと上手く演出できていれば心に残る映画になったと思うが、駄作ではないものの、深みに欠けていたような印象を受けた。

 

 

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