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2008年6月 4日

ボビー(2006)

- 力作! -

Bobbyは、想像していた以上の力作だった。

大人が見る映画としては、本当にオススメ。でも、子供にはちょっと意味がない。恋人と見るのは悪くはないが、果たして若いカップルがどんな反応を示すのかは解らない。まとまりがない映画だと感じる人もいるかも知れない。

脚本と監督はエミリオ・エステベス。「セント・エルモス・ファイヤー」にも出演してはしたが、正直言って目立つ個性を感じる役者ではない。あちらの人の中では小柄で、今回の出演している俳優の中では情けない役柄がピッタリといった風貌。それがどうして、作品のアイディア、構成、演出などに関しては一級品に近いものがある。きっと近いうちに、とんでもない名作を監督しそうな予感がする。センスがいいのだろう。

たくさんの出演者がグランドホテル形式で錯綜するが、多くの人々がロバート・ケネディに期待し、その暗殺で失望する様子が痛いほど解った。直接暗殺を中心に描くやり方では、どうしても青臭くなってしまうところを、今回の作品では見事に回避していた。それでいて、随所にボビーの演説を配置することで、彼への愛情にも似た共感が沸き起こってくる力があった。

それぞれのエピソードは、あんまり複雑になっては説明の時間が足りないし、単純すぎると観客が共感できない。そのへんのバランスが難しいが、どれも適切なレベルに整理されていた。

ただし、お互いの関係が錯綜しきれていない例もあった。普通は、お互いの関係なさそうなエピソードが妙なところでつながっているように作られることが多い。あんまり無理に話を作らないようにする方針だったのかも知れない。

暗殺場面では意外な人物が巻き添えを食って銃撃される展開になっていた。

ベトナム行きを逃れるために結婚式を挙げた男が、まっさきに意識を失って倒れ、画面では死んでいるように見えた。後でテロップが流れて、死んだのはケネディだけであると説明されるが、画面では完全に死んでる。「せっかくベトナムから逃げたのに・・・。」という想いを観客に持たせることを狙ったのだろうか。

選挙運動をサボった二人が、皮肉にも撃たれてしまう。ホテルをクビになることが決まった男は、腹いせに支配人の浮気をばらしていたが、銃撃されたら支配人に介抱してもらう展開になった。そんな皮肉な運命にこだわっていた様子。こだわる必要はなかったような気もするが・・。

マーティン・シーンは、私の考えでは銃撃されるべき人物だったような気がする。うつ病になって、それでも妻に愛情を示す好感度の高い人物像であったし、なんと言ってもテレビシリーズで大統領役をやっているから存在感があるので、ぜひとも撃たれて死んで欲しかった。いや、死ぬ役柄で我々を悲しませて欲しかった。

好感の持てる人物こそ、死んでいくべきである。憎たらしい役こそ、生き残る意味がある。選挙結果に賭けをして、「ちきしょう。ケネディなんか死んでしまえ!」と、叫ぶような登場人物もいたって良かったかも知れない。

大御所のシャロン・ストーンとデミ・ムーアが、うらぶれかかったオバサン役で出演していた。特にシャロン・ストーンの化粧にはまいった。こんな役をやってのける女だからこそ、激しい悪女役もこなせたのだろう。すさまじかった。

アイディア、脚本に惚れて出演したスターも多かったのではないか?皆、民主党支持者なのだろうか?

民主党のオバマ候補は、ケネディを連想させる新鮮さを持っているが、今度の大統領になるのだろうか?しかし、イメージにだまされてはいけない。前々回のクリントン夫大統領は、もろにケネディを連想させる人物でありながら、セックススキャンダルや不正行為など、実像は情けなかった。

もういいかげんにケネディの呪縛から逃れるべきである。ローマ史のグラックス兄弟みたいな存在で、めったに登場してこないからこそ意義があるのであり、実像まであんな一家は出てこないと思ったほうが良い。

 

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