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2008年6月24日

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000)

162566view003 - 変った映画  -

この映画は、随分と変わった作品だった。映画評では褒めている評論が多かったようだし、カンヌ映画祭でグランプリを取ったくらいだから、芸術的には優れていると思うが、この映画を見て愉快に楽しめる人はいないだろう。楽しみとは別な路線を狙っているから当然だが、それにしても・・・。

ミュージカルのシーンがあったが、にやけた男女が派手に踊る本来のミュージカルとは雰囲気が違って、ちょっと異様な印象を受けた。主人公が派手でないミュージカルもあるにはあるが、それは惨めな主人公が踊りの場面では脚光をあびることを夢想する場面が多く、基調が楽しいことが多かった。この映画においては、基本的に悲劇、それも救いようのないくらいの悲劇だったことも独特だった。

踊り自体が本当のダンサーか解らないくらいの出演者がやっていた。歌も、ビョークはもともと独特なので解るとしても、共演者も歌い手でない人をわざわざ選んであったので、素人臭がした。それを、わざわざ狙っていたのだろう。何か自然な感じがした。本職のダンサーと歌手ばっかりだと、いかにも作り物になってしまって、現実離れしてしまう。

舞踏集団がケーブルテレビでやっているような、極めてオタク的な踊りだった。私の好みは、おバカなで能天気なショーなので、見ているうちに落ち込んでしまった。なんでミュージカルを観て、落ち込まないといけないのか?あえて、不幸せな気持ちにならないといけないのか?正直、見るのを止めたくなった。

幻想~空想のシーンも多かったが、極めてリアルなシーンもあった。死刑の場面は、本当にリアルだった。あれは子供には見せられない。

撮影も、不必要なくらい手持ちカメラにこだわっていた。工場内部で労働者達が顔を付き合わせる場面ではいいのだが、固定カメラとのバランスには問題があったような気もする。編集も、意図的にぶつ切りだったが、もっと上手に、緊迫感をねらう時に限定してぶつ切りしても良かったのでは?

作品の全体が、’贖罪’の雰囲気を漂わせていた。罪を被るのは、キリストのように万人のためという崇高な目的のためではないが、悪行をしていないにもかかわらず、子供を生んだことの責任を果たそうとする、たぶん一種の原罪をイメージしているのだと思う。

本当は、主人公は勘違いしてると思う。失明の危険を逃れる方法は、いろいろあると思える。アメリカにおいても、教会などの援助は活発なので、完全に自分の費用で治療することだけを考える必要はなく、子供自身による分割払いなどの方法もあるのではないか?

間違った判断をしたバカな母親の物語だが、美しい話だった。勘違いだとしても、子供に対する気持ちが痛いほど解った。しかし、観ていて不幸せな気持ちになる映画とは・・。この作品を観ることが、我々の贖罪なのか・・。

そんなマゾッけのある映像体験だったが、さてこの映画、誰が観たらいいのだろうか?恋人といっしょに観るのもいいと思うが、それはコメディやアクション映画ばっかりに飽きて、「ちょっと系統の違う作品を観ようかな?」という時に限定すべきだと思う。

とにかく変った映画なんだから。カトリーヌ・ドヌープがこんな役をやることで、どれくらい変っているかが解る。

 

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