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2008年6月30日

クレイマー・クレイマー(1979)

Photo - 法廷戦術と家族-

原題ではクレイマー対クレイマー、すなわちクレイマー夫と、その元婦人の対決というタイトルだったと思う。この映画には本当に泣かされた。特に子役のジャスティン君が涙腺を刺激してくれた。傑作だと思う。

翌年のアカデミー賞を取ったのもうなずける。

監督のロバート・ベントンは職人のような仕事をする印象がある。全体の色彩が、薄明るい、温かみをもった感じに統一されていたことや、ギターを中心とした音楽も悲しい雰囲気をかもしだして、テーマによく合っていた。テーマをうまく表現するための全体の構成がしっかりしていた感じがする。

主演の一人のダスティン・ホフマンは、当時すでにハゲていたはずなので、おそらくかつらをかぶって演じていたのだろうが、若いお父さん役で、猪突猛進にキャリヤを重ねてきたビジネスマンの雰囲気を出していた。

小柄な人ほど負けん気が強くて仕事にも人一倍頑張る印象があるが、そんな人は不必要に愛想が良かったり、何かにつけてケンカ腰で口論を挑んでくる傾向がある。夫婦の間でも、相手の言うことを全く聞かないといった現象が良く起こる。仕事でやり手、夫婦関係も円満、近所付き合いも良好という人は少ないだろう。

そんなお父さんと、元来はキャリア志向の奥さんとでは、当然ながら感覚のズレが生じる。家庭を守って欲しい夫と、このまま埋もれていくのは嫌な奥さんとで衝突するとどうなるか・・・?

子育てをしなければならなくなったダスティン・ホフマンの生活が面白かった。ユーモラスなエピソードと、悲しい現実を織り交ぜた場面が、この映画の魅力を高めていた。

槙原範之の歌に似たようなのがあった。食事の用意が間に合わなくて、「これでも食べてな。」と、自分の分の食事をあげたら、お腹がグーと鳴って子供と笑いあったといった歌詞だったが、悲しさと暖かみがごっちゃになるイメージが湧いてくる。この映画も、あれと同じような雰囲気だった。

法廷でのシーンもリアルだった。法律用語で親子や夫婦関係を規定し、結論を出そうとすると、実に無味乾燥な争いになる。法律で家族を語ること自体が間違っている。もちろん不当に迫害されたら、権利は保護しないといけないが、結局はお互いの幸せを願って最善の策を講じればいいと思う。権利の主張を最優先すべきではない。

家族の問題を法廷闘争に持ち込むのは得策ではない。法廷での戦術によって攻撃されたダスティン・ホフマンが、「そんなことは問題ではないんだ!」と叫ぶシーンが印象的だった。法律用語の応酬、闘争のための戦術などは、結局意味がないことを差していたと思う。

子供のヘンリー君は、その後どうなったろうか?大人になってからの作品を見たことはないので、少なくとも映画俳優としては大成しなかったようだ。これも離婚のトラウマのためか?離婚が影響して心に傷を負って、グレてるんじゃないだろうか?今頃は、彼自身もトラウマによって離婚しているかも知れない。~んなわけはないか。

 

 

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