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2008年6月12日

慕情(1955)

Photo_2 - 不倫映画の金字塔  -

今は懐かしき、不倫映画の古典。もしかすると不倫と認識されていなかったかも知れないが、まぎれもなく結婚している男と独身女性が恋に落ちる話なので、絶対に不倫である。ハリウッドは、不倫を正当化しているのか!と、教会勢力から敵視されなかったのだろうか?あまりに穏やかな表現によって、気がつかないまま見過ごされたのだろうか?

昔懐かしい雰囲気の作品。

音楽が良かった。映画音楽集に必ずといって良いほど出てくる曲。それに、舞台も良かった。本当はゴミゴミした下町も、なぜか美しく見えるように撮影されている。フィルムの色彩も懐かしい。明るくて、今と比べると少しぼやけているが、それが優雅でゴージャスな雰囲気につながっていると感じるのは、あまりに懐古趣味か?登場するのは美男美女。昔の映画の条件を満たしている。

今の映画はひどい。「ハリー・ポッター」などでロンドンの下町を舞台にしようもんなら、臭いまでしそうなほどに薄汚く、ピチャンピチャンと、溜まった水溜りの音が聞こえてきそうな感じさえする。映像が繊細すぎて、コケや腐った食材までがしっかり写ってしまう。

今も美男美女は出てくるが、昔とだいぶ違う。激しいセックスシーンを平気で演じる。それはそれでいいのだが、夢のような雰囲気はなくなってしまう。

絶世の美女だったと思えるジェニファー・ジョーンズだが、今の女優達と比べると肥満体に近い。腕も結構太い。このへんのメタボリックな分析が、当時は未だ未開拓の領域だった。栄養が効いててグラマー=セクシーと信じられていたのである。

原作者のスーイン医師は、実際にジェニファー・ジョーンズに近い年齢らしい。その容姿は不明だが、結婚離婚を3回くらいやってるようなので、映画の女性は実像に近いのかも知れない。

ウイリアム・ホールデンも、今の感覚だと個性的とは思えない。だけど、格好良く女性をエスコートしてサマになる。私が同じ行動をとろうもんなら、すぐひっぱたかれて、警察を呼ばれる。何かが違うのである。その何かが解れば、こんなに苦労はしないのだが・・。

画面には登場しないが、ウイリアム・ホールデンの奥さんは、どんな人だろうか?猛烈なデブの、宝石がキラキラした女ならうなづけるが、私が観たDVDには一回も登場していなかったので残念である。ドスドスと登場して、ジェニファー・ジョーンズと乱闘をしていたら興味深いシーンになっていたろうに・・。

手紙と新聞との時間差が、ラストで盛り上がりを演出していた。よく考えた、心憎いばかりの設定だった。二人がデートする病院裏の丘も美しい場所だった。今は木も大きくなって、「映画の撮影場所」という看板が下がってるそうだ・・いや、適当にそう考えただけで、本当のことは知らない。

もし仮にジェニファー・ジョーンズ医師が中国に残っていたら、どうなっただろうか?中国の親戚達は、中国人として振舞えと説教していたが、どう見たって白人なので、その後の文化大革命などは生き残るのは困難を極めたかも知れない。今日なら、結構リッチな医者になっているかも知れないが、この時代では命の保証もない。

大きな時代の中で翻弄される男女の物語は、今後も引き続いて作られるだろうが、この作品は金字塔かも知れない。

家族で見るのはどうかと思うが、恋人とは・・?やはりぴんと来なくなっている。

 

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