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2008年5月21日

酔いどれ天使(1948)

- 痩せた三船が印象的  -

痩せた三船敏郎が暴れるシーンがおかしかった。我々にとっての三船は、リポビタンDを手に、「飲んでますか?」と言うコマーシャルの印象が最も強い。怒鳴っているのか、と思えるような野太い声がかっこよかった。

リポビタンちゅうのは、相当に元気が出るらしいと考えて、薬局に行って皆と金を出し合って飲んだことがあった。カフェインの量が多いので、元気になった気がした。確か、その夜眠れなかったような気がする。

大学時代の友人がリポビタンを大量に飲む実験をしたらしいが、一晩中マスタベーションしたくなったと言っていた。本当かどうか自分で試す気にはならなかったが・・。

我々より前の世代だと、三船と黒澤監督がコンビを組んだたくさんの作品を同時代で観たイメージが強いだろう。

タイトルの’酔いどれ天使’という言葉は、何か戦前の文学オタクの趣味が出ているような気がするが、当時としては画期的な造語ではないか?キャッチコピー的な効果が期待できる、優れたセンスのタイトルであろう。

志村喬は、この映画の時に43才だったらしいが、なんちゅう老け方であろうか。どう見ても60近い感じがする。また、メイクが激しい。西郷隆盛ばりに眉毛を跳ね上げて、マンガのような顔になっている。映像表現のためとは言え、ちょっとやりすぎだった。

三船の病状が進んで、頬がこけたことを表現するためか、ほほに色をつけてあったが、これまた激しすぎた。あんな顔の人間がいるわけがない。顔を見たら吹き出してしまいそう。

三船の兄貴分役の俳優は、ちょっと迫力が足りなかった。乱闘と時に、窓に向かって物を投げるシーンでは、しっかり窓に視線が行って、三船に向いていない。こんな初歩的なミスを、なんで監督たちは注意しなかったのだろうか?制作費が足りなくて、フィルム代をケチったのか?

女達の存在感は、少し薄かった。ヤクザの情婦役の木暮は雰囲気が出ていたが、それ以外は扱いが低すぎる印象があった。まだ、ウーマンリブの時代を経験していないからか?

田村亮子が出演している!と驚いたら、あれが有名な笠置シズ子だったのね!歌も踊りもかっこよかった。でも、顔はそこらのオバちゃんみたい。

結核の患者さんを何人か見つけたが、聴診では難しいと思う。普通の気管支炎や肺炎と症状は全く同じだし、経過が長引いておかしい、あるいはCT像が怪しいということで診断につながるパターンが多い。必ずしもレントゲンに所見がない人も多いので、おそらく当時は見逃しが多かっただろう。

この映画でも、経過が長いことが怪しいと思う点のひとつだし、何と言ってもヒロポンの時代には、まだ患者数が多かったので、ピンと来るものはあったに違いない。

肩を不自然にいからせ、気取ったポーズでタバコに火をつける仕草が、何とも言えずおかしい。昔はかっこよかったんだろうが、今となってはギャグの世界でしかない。ダンスの最中も肩をいからせていた。ジルバが結構上手いのは、相当練習したのだろう。

しかし、三船の存在感は凄い。声、顔が役にはまっているし、演技も迫力があって、当時のやりかたでは名演と言える。後年よりも派手で芝居臭すぎるが、ヤケクソの感じがよく出ていた。

もっとアプレゲール連中の無茶苦茶なのさばり方が、冒頭で頻回に出ていても良かったかも知れない。三船がクールに誰か一人くらい殺していたらどうだったろうか?今だったら、絶対にそんな展開から始まるだろう。

最初は観客の嫌悪感を買うくらい凶暴さ、ワルさ加減がひどくて、最後は哀れに思える~という展開を狙っていたのか、いなかったのか解らなかった。

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