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2008年4月 8日

オール・ザ・キングスメン(2006)

- 意外性を出してほしい  -

まず作品の着想が良かったと思う。実話に基づいているそうだが、いかにもありそうな政界の暗闇の部分に、いかにもありそうな幼馴染の男女の物語を組み合わせて、よくできたストーリーだった。役者達も一流ぞろいで、それぞれのキャラクターにあった人を選んであり、プロデューサーの力と役者達の意気込みが感じられた。

この作品は家族で観るのは、あまり感心できない。恋人とならOKだと思うが、好んで選ぶべき内容ではなく、観ても楽しくなることは全く期待できない。一人で小説を読む代わりに観るなら良い映画だと思う。

この作品は意外なほど話題にならなかった。なんとなく’いかにも’過ぎて、出だしの時点でストーリーが読めてしまう点が良くなかったのかも知れない。どんでん返しが何度かあると、謎解きの面白さが加わってくるのだが、展開から意外性は期待できなかった。そのへんに問題があったのかも知れない。

もしくはリメイク作品であることで、やはり新鮮な印象が望めなかったということだけが問題なのかもしれない。

もうひとつ、ショーン・ペンの演説の迫力がカギだったようにも思う。演説のよさだけで聴衆を魅了するのは非常に難しいが、カメラワークなどの演出で迫力を上手く出せれば、人気が高くなることを表現できて、観客の興奮度も上がるはずである。祭りの会場での演説は非常に大事な場面であったが、ドキュメンタリータッチの演出ができていなかった。

演説は迫力があった。しかし、彼を操ろうと担ぎ出した男の反応は不自然だった。観衆の前で自分のわるだくみを暴かれた人間は、あんな態度を取るとは思えない。憤慨して、「とんでもない濡れ衣だ」「誤解だ」「冗談か?」などと、ごまかそうと必死の形相になると思う。最初は抵抗していたが、すんなり収まっていたのはおかしい。

アカめいた労働者の動きに上流階級が恐怖するエピソードを加えると、対決の姿勢が明らかになって単純明快に訴えることができたのかも知れない。

配役は良かったと思う。オールスター映画の感があるくらい、皆はまっていた。ジュード・ロウは、育ちの良さそうな青年の物腰がうまく演じられていた。 ケイト・ウインスレットは、セックスがらみの愛憎を非常にうまく演じていた。アンソニー・ホプキンスは、登場した時点で「ははーん、きっと過去に何かあったに違いない。」と想像されてしまうという欠点があるが、いつものようにソツのない演技だった。

もうひとり、「リトル・チルドレン」で変質者役をやっていた俳優が、今回はボディガード役として登場していたが、これも気味の悪い感じがうまく出ていた。

ショーン・ペンは、無名時代にはマドンナの恋人として名前だけは知っているくらいの存在だったが、マドンナの見立てた通り、その後は大きな映画に次々出演して芸域を拡げている。ただし大仰で、いかにもマフィア臭い。静かに演じることができるような感じはしない。今回の役は、したたかな政治家に変身するところは巧かったが、納得のいく変化ではなかった。

ジュード・ロウが、なぜケイト・ウインスレットと結ばれなかったのか、なぜショーン・ペンが変身したのかを、ポイントを押えて説明できていたら、この作品は感動を生むことができたのではないかと思う。やけ酒の後で人格が変るなんて、おかしい。彼の妻とのやり取りも当然あるはずである。

おそらく、脚本の段階で問題があったのではないか?

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