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2008年3月27日

レミーのおいしいレストラン(2007)

- 冒険物語ではない   -

作品のアイディアが素晴らしいと思う。まず料理の物語は、テレビでもマンガでも繰り返し作られるところからして、一般にヒットしやすいということが言える。誰でも美味しいものは好きなので、美味しい料理を作ったという話は、なんだか自分もそれを味わっているかのように想像されて、それだけで幸せを感じさせる要素となる。

それに加えて、料理人の苦心や努力、成長の物語、あるいは実際の料理のコツ、ウンチクめいた話が加わると、なんだか勉強して自分も一段成長したかのような気分にさせる。料理の話は、それだけでヒットする要素を持っている。

この作品の場合は、それに加えたアニメ的な要素として、優れた料理人が実はネズミであったという奇抜な要素を持ち込んでいる。映像の作り方や、登場人物の描き方、ストーリーなどを総合して、その試みは成功していたと思う。

しかし実際のところ、我が家では腹を抱えて笑った家族はいなかった。フフン、ハハ程度の笑いだった。ハリウッド製のアニメではなく、昔のヨーロッパの喜劇映画を観るかのような鑑賞態度だった。話もフランスだったが、あまりに雰囲気が出すぎて、作風までフランチになってしまったのかも知れない。そうだとしたら、この作品のレベルは高いと考えざるをえない。

考えてみれば、ネズミはキャラクターとして際立って魅力的だったろうか?例えば、通常の動物の物語は、勇敢さや臆病さなどの性格的な特徴を描くことが多い。それで主人公の成長や失敗が我々にも納得できる効果があると思う。今回のネズミ君は、果たして際立つ性格の特徴を持っていたろうか? 際立つ能力は持っていたし、かなり勇敢ではあったが・・。

主人公ではない人間のほうは、頼りなげであってキャラクターがはっきりしていたし、成長めいた話になっていた。しかし、この映画の流れでは中心はネズミであったので、彼の危機や成長がないと物語の盛り上がりには欠けてしまう。

キャラクターでなく能力が主人公を特徴づけていたなら、主人公の成長を通して我々が涙することは望めない。そんな感涙ウルウルの作風でないから、当然ながら爆笑を望むべくもない。この作品の感動度は最初から決まっていたのだろう。既に出来上がった能力を通じて展開される物語を見ることになる。

いつも大冒険ストーリーでディズニー風の感動ばかりしていると疲れるので、たまにはいいと思うが・・。

厳しい批評家が最後にどんな感想を持つのかは、だいたい誰でも想像がつくが、ラストのオチも、なんとなく予想できる。映像が美しく、雰囲気が良いので幸せなラストが似合った。

この作品は家族とも、恋人とでも見ることを勧められる。幸せな気持ちになれると思う。悪い印象を抱くやつはいないと思える。

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