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2008年3月29日

北京の55日(1963)

- リメイクを望む -

義和団の乱を題材にするアイディアが秀逸だった。

チャールトン・ヘストンは、いつものような圧倒的なヒーローではなく、やや目立つ兵隊としてしか働いていなかったが格好良かった。冒頭の登場シーンでカウボーイみたいな姿で中国の街を進み、宣教師を助けるために値段交渉をする姿は、主人公の姿勢を表わして効果的だった。

つまり圧力に屈しない意志、勇気、残虐行為を許さない精神、そして抜け目ない交渉術など、ただの体力バカではないことを表わす優れたシーンだと思う。

戦闘でも結構活躍していたが、この作品では圧倒的に目立つほどではなかった。いつもの筋肉隆々たる姿はなく、結構スマートな兵隊役に止まっていた。現実に近い感じだった。

史実映画としては、この控えめさの関係で出来が良いほうにあたると思う。もちろん中国人はそう思わないだろうが。エキストラをどうやってそろえたのか知らないが、数の迫力があり、広大なセットは見事な迫力を出していた。ラストシーンも凝っていた。砲弾の痕の穴から立ち去るヒーローを見るというのは、うまい表現だったと思う。

題材の取り方、描き方などは史劇の教科書になりそうなオーソドックスな作り方であった。男達のキャラクターはよく描かれていたと考える。

エバ・ガードナーは、あんまり出演作を観たことがない。子供の頃、裸足の伯爵夫人を見たけれど、良さは解らなかった。今回の役も良く演じられていたのかどうか自分には解らない。色っぽいとは思う。ふてぶてしさやユーモアやなんかも解るが、悲劇のヒロインとしては少々描き方がおかしい。最後の場面で、主役と話さないなんて、映画の最高の盛り上がりを自ら破棄しているに等しい。いったい彼女は何を期待されて、この役を演じているのか?

中国人のほうは皆が悪役だった。特に中国皇太子は最悪の人物として描かれていた。しかし、今の中国人がこの映画を観たら、何と思うだろうか?「侵略してきた列強に反抗して何が悪いんだ!」と感じるに違いない。

確かに非戦闘員を殺すのは、明らかに殺人であるから国際法上は犯罪行為であることは間違いない。この映画の冒頭で宣教師を殺す、居留地の一般市民を殺すのは処罰の対象であるだろう。

かっての侵略は、①宣教師や商人が居留を許可される ②居留民の安全確保のために軍隊を派遣 ③さらなる商取引のための投資先(植民地)を拡大していく の繰り返しであったと思うが、そもそも存在すること自体が衝突の原因なんで、すべては現地の法律に従い、紛争は現地の警察組織が鎮圧、というのが本来の原則ではないか?軍隊を持ってくること自体が違法、侵略の意図を示すと考えるべきである。

侵略者の言い分では、「アヘン戦争で得た権利により軍隊の駐留を正式に認められた」、イギリス以外は「各々の政府交渉で得た権利である。」と主張するだろうが、今で言えば麻薬シンジケートが実力で支配するみたいなものであり、居留地の存在自体が犯罪である。

すると、犯罪者集団が中国のかわいそうな民を巻き添えにして砦に不法占拠し、立ち退きを命じた現地の政府に反抗して武力行使した際の映画と見る事ができる。

シンジケートの犯罪者達がわるだくみして、55日間も民衆を殺しまくる映画だなんて、ああ考えただけでもシュールで面白い。

中で犯罪者達が恋愛感情を抱くのは結構だが、中国人からすればロマンスのかけらもない野獣のサカリくらいにしか思えないかも。

視点を変えて、中国側から見た映画をパロディで作ると面白いかもしれない。「ロード・オブ・ザ・リング」のバケモノのような特殊メイクをした俳優が55日間人間を襲う映画は傑作になるだろう。

 

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