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2008年2月12日

ミスター・アーサー(1981)

- 情けなく、おかしく、悲しい -

変な魅力の作品です。設定はよくあるパターンのオーソドックスな感じがしますが、主人公のキャラクターや全体の雰囲気が独特でした。ダメな男は笑えますが、彼の運命はあまりに悲劇的な方向に行きますし、音楽が美しく悲しい雰囲気の曲で、画面もフィルターの効果で悲しげです。全体の色調、風景が寒い感じなのです。

主題歌が有名なニューヨーク・シティ・セレナーデであったことも作品の質に大きく関係していました。小学校の音楽で歌ってた唱歌を何曲か覚えていますが、歌詞の内容に比べてなんで曲調が寂しいのかいな?と疑問に思っていました。あれと同じような感じの悲しさが基調になっていました。

我々人類は、基調として悲劇である作品を観ながら、その中のおかしい点に笑うという変な習性があるような気がします。ただの悲劇ではダメで、ただの喜劇もダメ。少し混ざっている場合に、最も感情を刺激されるようです。

この作品は子供が見て良いのか分りません。あまり教育に良い影響は期待できないような気がします。恋人となら観てもいいでしょう。これは喜劇か悲劇か分りにくい変な作品ですが、全編に漂うおかしくて悲しい雰囲気がなかなかお勧めです。

ダドリー ムーアは、この作品では酔っ払いの、完全にどうしようもない男として登場します。それはもうダメさが徹底しています。意気地がなくて、体力も知恵もなくて、イジイジしています。おまけに見た目もさえません。ライザ ミネリが母性本能をくすぐられたのか恋仲になりますが、実は彼はケタはずれの大金持ちで、事情により遺産を受け取るか結婚するかの選択を迫られることになります。

チャップリンの作品と似てるようで、少し違う感じです。せめてチャーリー君くらいのファイトを出せよと言いたいほど意気地がありません。腹を抱えて主人公のダメぶりを笑うのもやりにくい感じですし、愛を貫くことができるかハラハラするような恋愛小説とも違います。

例えばリック・モラリスが主演していたら、ダメ男は同じとしても寒い風景は似合わず、温色系のフィルターのもとで、Tシャツ姿の主人公がドタバタ劇を繰り広げるのを、観客が腹を抱えて笑う作品になるはずです。それが普通の作り方です。この作品は、都会の孤独をテーマにした作品の手法を用いた喜劇映画という、変わった作り方をした作品でした。

その作風が成功していたのかは解りません。観終わった後に、何か幸せな感じを残せたら成功だと思いますが・・・。

実際のムーアはどんな人なのでしょうか? 調べていて、彼が奇病で亡くなっていた事を知りました。そう言えば確かに最近出演作を見ませんでした。音楽の世界に帰ったのかと思っていましたが、残念です。ものすごく魅力的な俳優ではなかったのですが、彼の不幸を知ってからこの作品を見ると、悲しさが増してきます。本来は音楽家で、たぶん本格的な演技の勉強をしてはいない(良く知りませんが)と思いますが、よく分らない人です。

この作品には続編がありますが、私はまだ見ていません。ダドリー ムーアの出演作は「テン」が最も有名かと思いますが、「ファール プレイ」も面白い作品でした。変態みたいな音楽家役で出演していましたが、実際に彼は音楽家ですし、まさか地でやっていたのではないでしょうか?

個性俳優でしたが、ハチャメチャな個性でした。魅力と嫌悪感のスレスレを狙っているような感じです。でも、この作品は一見の価値があるような気がします。

 

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