映画評

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2008年1月18日

ニュー・シネマ・パラダイス(1989)

Photo - あいつは!・・ -

懐かしさってやつは、本当にせつない気持ちにさせます。

この作品には本当に感動しました。歴史に残る傑作でしょう。特に映画好きな方には、たまらないほど魅力的な作品だと思います。昔の映画にかける皆の情熱、少年~青年時代の懐かしさ、郷土の村や町への郷愁、淡い恋心や友情、親や兄弟とのやり取りなど、たくさんの事柄が非常に巧く描かれていました。あの情熱、強い思いが、この映画のテーマでしょう。

小さい頃のトトが怒られても映画館に通う姿を見て、そういえば昔は自分もあんなだったなあ~と、懐かしく思いました。私の場合は村に映画館なんてありませんでしたから、興味の対象はもっぱら川の魚や、山に作る陣地(秘密基地)、陣取り合戦、缶蹴りなどの遊びでした。晩御飯に間に合わなくて何度も怒られたものですが、そんな時は世の終わりのように悲しいのに、また理由をこしらえて出かけるわけです。あれは、やっぱ情熱の一種でしょうか。

映画は他の娯楽の中に埋もれてしまって、随分と様変わりしてしまいました。入り口でけつまずきそうになっていた薄暗い劇場は潰れて、マルチスクリーンシアターが主流です。本当に昔の映画館は汚かった。何か変な臭いがしてましたし、トイレに誰か入ると、ジャーッと音が聞こえるので興ざめしたものです。臭いから換気扇だけはつけてね、って思ってました。

映画館は、実に猥雑な臭いを秘めた場所でした。時には後から見る恋人同士が、どう考えても何かやってるんじゃないかと思えるほど激しく動いていたりしてます。すごいなあ~、でも家でやったら?と感じたものです。

いつだったか立ち見で映画を見ていた時、ズボンのチャックを誰かが開けようとしていることに気がつきました。当時の私は高校生で紅顔の美少年?でしたので、興味を抱いて誘ってきたようです。顔を見ると30~40歳くらいの小柄なハンサムな方でしたので、ついつい誘いに乗ってみようかと・・・思いません。”ノンノン、おいたはダメよん”と意思表示すると、残念そうに別な獲物を探しに行きました。映画館は、さながら無法地帯ですね。

今の私は紅顔ならぬ厚顔の中年ですので、誰も誘って来ません。映画館も明るくなって、誘うにはちょっと無理がありますし、第一私が見る映画はドラエモンなどで子連れですから、さすがに対象が違うと思われていることでしょう。とにかく、妖しげな雰囲気がなくなりました。

この作品では、子供時代の失敗、親をだまして行きたがる様子、母親の怒り方などなど、本当に懐かしい風景が展開されていました。懐かしくて、せつなくなるような作品でした。恋物語も美しい話でした。私の初恋もせつなかったですが、映画のように盛り上ることもなく、一方的にカワイ子ちゃんに憧れていただけで終わってしまいました。せつないのは、自分を可哀そうに思うからでしょうか・・。

音楽も郷愁に満ちた素晴らしいものでした。エンニオ・モリコーネが作った数々の曲の中でも最高の出来でした。ちなみにサントラ版を聴いたところ、同じ旋律を上手に使って、様々なタイトルの曲が作られていましたが、それぞれが場面に合わせて微妙に使い分けされていたようです。

さて、観終わった後に思ったことがあります。

後半のストーリーで、せっかくのノスタルジックな雰囲気やテンポを損なってしまったように感じました。あえて昔の恋人を登場させた意図が解りません。最後まで思い出物語にしてもよかったのではないかと思います。思い出に関することを中心にした作品ですから、「恋人は不幸な結婚をして死んでしまった。」というストーリーでも良かったのではないでしょうか。

駅で、かっての恋人そっくりの娘を見つける・・というのは韓国系の作品や昼のメロドラマの流れです。この映画の全体を考えるなら、そんな設定は避けるべきです。

もし展開を変えて、かっての恋人を探す場面や車の中のラブシーンなんぞのシーンを除いたら、ラストシーンは”いきなり”という感じになるかも知れませんが、話としてはまとまりがあって、観た後の印象をかえって良くしたような気がします。

あくまで中心はノスタルジーで、恋愛ドラマではないのですから。

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