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2007年11月 4日

裏窓(1955)

- もしもブサイク女優だったら?  -

この作品は、独特のユーモアと品位が漂う、しゃれた映画でした。よく考えて作られていたと思います。

裏窓から見える狭い空間が舞台ですから、最初から最後まで完全にセットに入る中で、向かい側のビルの住民達や、こちら側の主演二人の表情だけで緊迫感を出したり笑える場面を作ることができるのは、ただならぬ工夫とアイディアが必要だったと思います。

この作品は、子供でも見れると思います。小学生くらいなら充分に理解できそうですし、激しい乱闘や非常にエロティックなシーンもありませんので、家族で楽しめるでしょう。あんまり良い影響はないかもしれませんが。もちろん服装は笑ってしまうほど古いですが、今の若い恋人達が見ても、それなりに盛り上がる作品ではないかと思います。

独創的なトリックがある推理物ではありませんので、「なんだ、そうだったのか~。」という、種明かし的な喜びは期待できません。また、猟奇的なシーンがないので、ハラハラ度を期待する人には、「あれえ?スリラーじゃなかったの?退屈。」という印象があるかも知れません。この作品は、うっとりと映画を見る、昔の楽しみ方でないといけません。

本当に昔の楽しみ方専門の作品です。うっとりするようなヒロイン。裏窓から見える向かいの人達の仕草と、それの表現方法。「アハハ」~「おほほ」と笑わせる程度に、おしゃれに止めているようです。監督が観客の顔まで想像しながら作っていることが伺えます。

最近は、もっと激しく爆笑させる映画か、もしくはCGでアッと驚かせる刺激の強さをねらった作品がメジャーなので、この作品とは随分と楽しみ方が違います。

また、この作品は直接的に映すのではなく、カメラワークや、影、光などの視覚効果を間接的に使うことで、芸術的に表現する手際が素晴らしいと思います。あんまり芸術的すぎると観客の感覚と離れてしまいますが、そのへんのセンスは抜群によかったようです。

主演のジェームズ・スチュアートの魅力は、私にはよく分りません。なんとなくぼんやりした感じがして、悪い印象はうけませんが、本当に大スターになるべくしてなったのか理解できません。

いっぽうのグレース・ケリー様は、一見してスターになるべくしてなっていらっしゃったと分る女優です。なんで裏窓のお部屋にドレスみたいなかっこうをしてご来室されるのか、完全に場違いで恐縮してしまうくらいの感じがします。映画を作る場合には、やはりこのような方がいるといないとでは、観客へのアピール度が全然違ってくるでしょう。

グレース・ケリーが向かい側のビルに行く場面では、美しい彼女のことが心配になります。これがブサイクな女優だったら、心配度が一気に下がります。中途半端な美人の場合は、女性の中には「フン、あたしとそんなに変らないくせに女優なんかやりやがって、身の程知らずの女ね。さっさと死んでしまえ。」などの怖ろしい心理的反応が起こる可能性があります。しかし、グレース・ケリーくらいになると、凄すぎて女も心配してくれます。中途半端な美人ではダメです。

そういえば、以前に知人の結婚式に参列した女性が花嫁のことをグレース・ケリーみたいな美人でビックリした、と話したことがありました。整った美人の代表選手だったわけです。今なら「シャラポアみたい」という感じでしょうか?でも、シャラポアのような男まさりが部屋にズカズカ入って来ても、映画の雰囲気には合わないような気がします。雰囲気も大事です。

監督のユーモアと映像のセンスも良かったですが、やはりグレース・ケリーの美貌と立ち居振る舞いが決め手になっていたと私は思います。映画の品位を高める効果がありました。ノリカやエビちゃんや、女王エリカ様など他の日本の女優達では、とてもここまでの高貴な感じは出せないような気がします。

 

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