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2007年11月 6日

北北西に進路を取れ(1959)

- ダイ・ハードの原型  -

最初にこの作品を観た時は、北北西に何かの秘密基地か宝物が隠されているかして、主人公がそれを暴く物語かと期待していましたが、ラストシーンが終わっても基地も宝も出てきません。はて? 何か見逃してしまったのかな? これは北北西の秘密を隠した監督のクイズなのかな?と、だいぶ考えました。

結局は、本来の筋には何の関係もないタイトルらしいと、後で知りました。監督の言葉によれば、北北西と北西北の区別もつかないように主人公が混乱してしまったことを意味する、もしくは観客をケムにまくためのユーモアの意味だったようです。まったく人騒がせな監督です。

この作品は、家族で観ることができます。しかし、ちょっと展開のスピードが昔のままですので、子供達は退屈してしまうようです。すぐにマンガなんぞを見始めて、ラストの断崖の場面まで観てくれませんでした。恋人と観るのは、今でもお勧めかも知れません。おとなしいサスペンスで、血なまぐさい場面が少ないからです。なんとなく紳士が作ったような、しゃれた雰囲気すら感じられます。

主人公が勘違いされて悪人達に付け狙われてしまうストーリーでしたが、途中までなぜ命を狙われるかの理由が分らない、そして主人公の努力で次第に全体像が分ってくる、さらに博士が登場して種明かしをしたうえで今度は協力を依頼される、判断の決め手になるのは金髪の美しい女という、何だかワンパターンの展開でした。

たぶん日本の安物のテレビドラマが、この作品のまねをして似たような展開のストーリーをさかんに作っているから、そう感じるのでしょうか? それとも監督のスタッフにはテレビのヒチコック劇場のスタッフが入っていて、結構安易に作品を作っている場合があったそうですから、そのせいでしょうか?

ダイ・ハードシリーズも、主人公が事件に巻き込まれて、やがて解決に導く展開の仕方でした。巻き込まれると、「何で?どうして?」という謎解きの要素と、主人公の恐怖、不安感が浮き出てきますので、観客をひきつける効果があります。監督が、この流れを好むのも当然です。

ハラハラする場面がたくさんあって、よくできていました。美女が正体を暴かれそうになって危険がせまっているけど、それを伝えられない主人公がイライラする場面。それに、ラシュモア山で銃撃されながら逃げるシーン。実際のラシュモア山には行ったことがないので、本当の危険度は分りませんが、結構な断崖のようで迫力がありました。

主人公のケーリー・グラントは、もとは軽業士だったと書いてありましたが、結構大柄です。悪人の山荘に忍び込む時の手際を見ると、あまり身が軽いようには見えませんが、忍者映画ではないので別に構わないでしょう。演技を要求される場面は、あんまり多くない映画だと思いますが、主人公の困惑や勇気は伝わりました。

ヒロインのエバ・マリー・セイントは「波止場」の時と全く印象が違って、なぞめいた女性をうまく演じていたと思います。何か暗さを感じさせる女優で、秘密の過去を隠している雰囲気がよく出ていました。ヒチコック監督作品に登場した他の女優では、美人過ぎたり、色気が出すぎたりして作品に合わなかったかも知れません。

飛行機に襲われて草原を逃げ回る有名なシーンには、やはり無理を感じます。普通は誰かを殺そうとする場合には逃げられない場所を指定しますし、都合よく飛行機が何かにぶつかってくれることは期待できません。それくらいは分っていることでしょうから、たぶん飛行機に追われるシーンをとにかく撮りたいという、ただそれだけのために作られたシーンなんでしょう。

 

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