映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主


Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« サイコ(1960) | トップページ | ギャング・オブ・ニューヨーク(2001) »

2007年11月19日

めまい(1958)

- たくましいヒロイン  -

この映画の原題のめまい(バーティゴ)は、本当はdizzinessに近いかも知れません。画面の感じでは、距離感がおかしくなるだけで、回ってはいないようです。バーティゴは、グルグル回るような感覚を言うのだと聞いています。どっちでもいいと思いますが。

この作品は、子供に受けるかどうか分りません。今の若い人に受けるかも、ちょっと想像できません。テンポが違うと感じる人も多いかも知れません。

この映画でまず印象的だったのは、キム・ノバックのたくましい体格でした。腕も太いし、肩幅も相当なもので、柔道やってるの?と聞きたいくらいでした。やはりパツキンは食ってるものが違うんだろうねと思った記憶がありあます。

何かの会合でアメリカの循環器のドクターと話す機会があって、「まさか毎日ステーキを食べたりしてませんよね?」と聞いたところ、当然のように「ほとんど毎日食べてますね。」と言われて、感心するというか、あきれたことがあります。循環器の先生なら、当然コレステロールなんかを気にしていると思っていました。キム・ノバックは、その後心臓病にはならなかったか気になります。

もうひとつは、1回だけポップアート調のアニメーションの画面があって、主人公の病的な感覚が表現されていたようですが、あのシーンが懐かしいサイケデリックな感じで印象に残りました。当時は、テレビでも度々、あのような花びらが咲き誇るような、うごめくような調子の画面がよくありました。あれが最高にナウイ感覚でしたが、今となってはかえって懐かしい、時代を感じさせる表現方法になってしまいました。

子供心に、マリファナなどをやると皆あんなふうに見えるのかね?シンナーでも似たような感覚になれるのかしら?などと想像しましたが、ジャンキーになるのが怖くて体験することはできませんでした。その後、様々な覚醒剤が登場しても、アートの世界ではいつまでも花びらがうごめいたりはしてないようで、単なる流行にすぎなかったのかも知れません。

覚醒剤中毒だった患者さんに何度か会いましたが、いろんな幻覚のパターンがあるそうで、必ずしも花びらはうごめかず、幻覚はない人のほうが多いようです。薬品にもよるようで、「先生、これは元気になるけど、これはイマイチでしたね。やってみないと口では説明できないよ。」などと言ってましたが、あまり聞いていると覚醒剤を世話してきそうなので、詳しくは聞いていません。

近所の医院の息子さんが覚醒剤所持のために逮捕されましたが、お父さんの心情を考えると非常にお気の毒です。苦労して大学にやって、やっと継承を考えられるようになったのに事件を起こされると、希望も何もかも吹っ飛んでしまうでしょう。

私は学生時代はアル中のような状態でしたので、依存性が怖くて、麻薬や覚醒剤などに手を出したいとは考えませんでした。ある意味ではアルコールのおかげです。アルコールが必要なくなったのは、ひとつは医者になって酔ったまま診察したら患者さんに申し訳ないのと、飲んでいては体力的に耐え切れないことがきっかけでした。自分の意志だけで禁酒できたわけではないように思います。何かの薬物依存から脱却することは、本当に難しいと思います。

さて、話を映画に戻しますと、この作品は結構こったストーリーでしたが、高所恐怖症を使ったトリックを、テレビタッチのカメラワークで分りやすく表現していたように思いました。 階段の上から下を見ると、焦点がビヨーンと延びて主人公が頭を抱えるという表現で、高所恐怖症で動けないんだなと簡単に分りますし、かといって吐いたり意識を失って、話が深刻すぎない程度の芝居になっていましたので、気楽に楽しめました。

主人公らが見せる芝居は、ちょっと芝居がかりすぎていたような印象も受けましたが、表現の分りやすさのためか、断崖絶壁の恐怖やサイコスリラーがなくても、娯楽作品として仕上がっていたと思います。

主人公のジェームズ・スチュアートは、ちょっとぼんやりした感じが役柄に合っていたと思います。そしてキム・ノバックは、ジェームズ・スチュアートくらいなら簡単に突き落とすくらいのパツキン・ステーキ・パワー(そんなのあるか?)があったと思いますが、やはり主人公を愛していたからやらなかっただけかいな?女は感情で殺す人を選ぶ怖い動物だと、感心したりしました。

 

« サイコ(1960) | トップページ | ギャング・オブ・ニューヨーク(2001) »

無料ブログはココログ