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2007年11月30日

クラッシュ(2004)

- ドン・チードルはシェイダーの隠し子  -

主演のドン・チードルが、「この街で触れ合い、理解するためにはクラッシュ(衝突)が必要だ」のようなセリフを吐きますが、これが映画の主題のように思いました。

この作品は、子供向きではないようですが、絶対に見せてはいけないというような悪趣味な作品ではなく、むしろ上質の人間愛を謳った映画だと思います。恋人と観るのは、お勧めです。ピストルバキュン、ミサイルドカンの子供映画ばかり観るのは止めて、たまにはこんな作品をじっくり観たいものです。

脚本が素晴らしかったと思います。演出自体は、本当の職人芸ではないような印象を受けましたが、アイディアとストーリー展開の良さが、それを補って余りありました。役者達も、おそらくこの作品のデキの良さを確信して演じていたような気がします。皆、酔ったような演技ぶりです。

話の前半は、正直なところ私は流れを理解できなくて、「この映画もコマギレすぎて難解にした駄作かよ。」「なんで最近は頻繁にフラッシュバックしたがるんだい?」「いっそタイトルをクラッシュじゃなくて、フラッシュバックにしたら?」などと皮肉まじりに観てしまいました。でも、途中から人種、文化、言葉、愛情などの問題をオムニバス形式で扱っていることに気がつき、構成の良さに感心しながら観ました。

演出家として成功した黒人が、妻への白人警官の仕打ちや、仕事仲間の黒人に対する意識を認識して暴走する場面がありました。実際なら車に押し入った強盗か警官にあっさり殺されてしまう行動でしたから、これは演出としては軽すぎたと考えられなくもありません。銃をつき付けられての表情は、冷静すぎたと思います。泣かせるべきではなかったでしょうか。

銃で撃たれた子供が、たまたま空砲だったために助かる場面では、もし殺されていたらどうなっていただろうかと思いました。実際には、殺されるほうが現実的だからです。でも、発砲したペルシャ人が「あの女の子は我々を助けに来た天使だ。」というセリフが印象的でしたので、あのセリフのためには生きておく必要がありました。子供が殺されたら、希望も何もないドキュメンタリー映画になってしまいそうです。

衝突しあっても理解しあえるということを訴えるために、ストーリーがドラマチックで希望の光をちょっと灯すようになっていましたが、実際には衝突が激しくなるばかりかも知れません。アメリカの場合は、資本の利益と反する国は、ことごとく殲滅してきた歴史があります。かってはメキシコ、ドイツ、日本、ソビエトなどが対象でした。いずれも対立している時には結構衝突が起こっていましたが、しこりを残しながら何とか乗り越えています。今だとアラブ系、イラン、イラク系、そして中国系が衝突の対象ですが、今後緩和されるかどうかは、どう対処していくかにかかっています。

アメリカの場合は、各民族がコミュニティーを作って、ほとんど独立して生活できるから、連邦国の中で独立しているようなものです。国がアメリカだろうとカナダだろうと、あまり関係ないという人も多いと思います。より分裂し、クラッシュばかりが連鎖する事態も予想されるところです。

主演の一人のドン・チードルは、またまた渋い演技を見せていました。この人が出て来ると、大して演出してないシーンでも引き締まります。ちょうどロイ・シェイダーのような感じです。そういえば、なんとなく顔が似ています(?)

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