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2007年11月21日

ギャング・オブ・ニューヨーク(2001)

- スケールが大きいが・・ -

監督 マーチン・スコセッシ

この映画の構想、スケールには驚きました。ギャングというとマフィアのイメージが強く、棍棒で殴るような集団は、私から見ればただの暴徒ぐらいにしか見えませんが、確かにギャングの先輩だったと思います。しかし映画用のタイトルは’ギャング’でなく、キング・オブ・ニューヨークなどでも良かったような気もします。

この作品は家族では観れないと思います。テーマも映像も暴力的で、子供には良くないでしょう。恋人とギャング映画・・・というのも勧められません。私は昔、うっかりギャング映画をデートで観てしまいましたが、彼女が「すっごく面白かったね~。」と、目を輝かせて言うので、なんか怖くなって、すぐ別れました。

傑作になる可能性がある企画だと思います。

スケールには感心しましたが、構想から映画的にまとめる作業で失敗したようです。ヒーローをディカプリオにするなら、やはり悪役は憎まれないとダメでしょう。それなりの魅力を出すのは構いませんが、主役を喰ってしまっては作品の盛り上がりを損ないます。

もし悪役を中心にするなら、もっと完全にやらないとダメです。もっと残虐なシーンを多用するか、もっと何度も襲撃されて傷つきながら戦わないと、同情を得ることはできません。ダニエル・デイ・ルイスは好演でしたが、演出は中途半端といわれても仕方ないと思います。

作品自体が長すぎたのも確かです。原作から抜粋する作業を、もっと練り直すべきでした。

キャメロン・ディアスは、ミスキャストのように感じました。もっと情熱的な印象の女優を使って、しかも悲劇的に死ぬ必要があったと思います。悪役に殺されていたら、ストーリーが単純になって、流れがはっきりする効果はあったはずです。彼女が生きていたことは、明らかに間違いです。

もうひとつ、銃撃が少なかったことも欠点と言えるように思います。我々からすればアメリカは銃の国なので、銃撃をひかえて斧などでやりあうのは考えにくいことです。また、仁義を守って正々堂々などとは、アメリカンスタイルではありません。大勢で少数をたたくのも当然と考える国柄です。

待ち伏せ、だましうちが少ないので、現実と遊離したおとぎ話になって、単なる若者ヤクザのケンカ映画かいな?と、がっかりしてしまいそうになります。

乱闘シーンの迫力が不足していたのも、いけませんでした。今のCG映画の乱闘は、そりゃ~激しいので、それこそロード・オブ・ザ・リングのバケモノとの戦いのほうが迫力勝ちしています。殺陣師の教育が必要だったと思います。

編集の仕方を変えるだけでも、この作品は傑作になっていた可能性があると思います。単純に短く焦点をしぼることだけでも、きっと作品の質を上げたでしょう。

この映画の時代の後にはイタリヤ系の移民が入ってきて、旧来のイメージのギャング抗争が始まるのでしょうが、アイルランド系移民も当初は悲惨な状況だっただろうと、この作品で改めて思いました。単純作業者から警察官や軍人などになって、やがてケネディ家のように権力者になっていく者が出てはきますが、もとはギャングの仲間のようなものだと思います。

中国人の扱いも、ひどいものでした。こんなに昔からニューヨークの中に中華街を作っていたなんて、驚きです。おそらく大陸横断鉄道の工事のために清から引っ張られてきた人達だと思いますが、犬か猫のような扱われ方です。少数民族は常に地べたを這うようにして生き延びて、徐々に地位を確立していたのだと改めて認識しました。その過程で、’ネイティブ’などと対抗するために、ギャング組織が必要だったのでしょう。

もちろん、正当化はできませんが。

 

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