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2007年11月26日

ハワイの若大将(1963)

- 浜辺でデートしたかった! -

若大将シリーズは昔はすごい人気だったと聞きます。今から30年くらい前までは、時々3本立てくらいで上映されていました。不入りの映画館が急に満員になり、場所によっては拍手喝采、紙テープが舞うという上映会になっていたそうです。解る気がします。

私も何本か観ました。この「ハワイの若大将」は、衛星放送でやっていたので初めて観ましたが、主演の加山雄三のかっこよさ、田中邦衛の強烈なキャラクター、全体の古めかしさに強い印象を受けました。今ならハワイの風景も全然違っていることでしょう。車もクラシック・カー寸前の時代物で、当時の風俗を見る意味でも面白い作品です。

この若大将の企画が作られたきっかけは、加山雄三というサラブレッドを売り出す段階で、加山のキャラクターそのものを生かそうと考えたことと、おそらくはプレスリーをイメージしていたのではないかと想像します。日本でも同じようなアイドルを作ろうとしたのではないでしょうか。両者ともに’60年前後に主演するようになっていますし、そういえばシャウトの仕方も似ています。

加山雄三は、実際にもお坊ちゃんですが、育ちの良さが分る立ち居振る舞い、声の良さ、歌の良さなど、アイドルの条件を満たしています。私の知り合いの坊ちゃん医者も、似たような雰囲気を漂わせていました。貧乏臭い私には出そうにも出せない、甘い匂いがするような感じがして、うらやましく思っていました。

シリーズを通じて最も魅力的なのは、田中邦衛の青大将のキャラクターです。誰が考え付いたのか知りませんが、憎めないズルさ、だらしなさが田中の外見、話し方と相まって、映画の本当の主役じゃないかと思えるほどの出来栄えです。田中邦衛が普通に話すことなど想像もできないくらいです。

ハワイの若大将では、青大将の人気が高くなりすぎて悪役には向かなくなったことから、赤マムシなる新たな悪役が代わりの役割を果たしていました。当時は海外に行ける人間は限られていましたから、都合よくハワイに行くなんて普通ありえない設定ですが、都合のよさがこのシリーズの特徴なんで、いちいち気にしないことです。

加えて、完全にマンネリ化してしまいますが、お婆ちゃん、父親役、恋人の星由里子などのキャラクターはそのまま、スポーツの種類や設定ばかり変えるという都合の良い製作の仕方も、逆に安心して見ていられました。このような企画の仕方が良かったと思います。当時は東宝の黄金期ですから、優秀な製作者がノリに乗って製作していたのではないでしょうか。

子供の頃の宴会では、きまって酔っ払ったおじさんが、「幸せだなー。君といる時が一番幸せなんだ。」の例のセリフをはいて歌っていました。合いの手もきまって、「いよっ、バカ大将!」「自分の顔を考えろ!」などで、子供達もゲラゲラ笑えました。子供ながら、キザなセリフをそのうち自分も言ってみたいなと妄想にかられていました。

浜辺でカワイ子ちゃんとデュエットなんかしちゃって、「君を一生離さないよ。」なーんて、加山ばりのデートが大学生になったらできるんだと固く信じていた少年時代の私はバカでした。実際は、いつも青大将かアッシー君役で終わって、「君とは一生話さないわ。」なーんて逆に言われるのでした。

現実の厳しさを学ぶことができて、授業より勉強になりました。トホホ。

話は飛びますが、若大将シリーズ後半の1970年、「俺の空だぜ!若大将」の併映作品のタイトル、「バツグン女子高生16歳は感じちゃう」は、どんな映画でしょうか。凄く期待してしまいそうな、いいタイトルだと思います。青少年なら、きっと見たかったでしょう。

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