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2007年11月23日

泥棒成金(1954)

- スリラーじゃないの?  -

原題は「泥棒を捕まえるために」というようなものですが、邦題の泥棒成金とは考えたものです。いやらしい俳優が主演していたら、いかにも成金のドロドロした役になりそうですが、さっそうとしたヒーロー、ヒロインが演じたために、成金もおしゃれでスマートに感じました。

この作品は、本当に純粋にエンターテインメントを追求していると思います。あまり怖いサイコティックスリラーばかりでは観客も身構えてしまいますが、おしゃれで優雅で、適当に謎とスリルがあって、リゾート地での恋物語もあり、軽い駆け引きだましあいもあって、娯楽の王道を行くような気がします。

この作品なら、子供といっしょに観てもいいと思いますが、我が家の子供たちには全然受けませんでした。ドラえもんのほうが面白いそうです。もうちょっと年齢が上がって、金目のものが欲しくなると見方も違ってくるかも知れません。今の若い人達が観ると、テンポが遅くて嫌に感じるかもしれません。

植民地からあらゆるものを盗んで金持ちになって、優雅なリゾートライフを送るのが好きな欧米人達は、きっとこの作品に喝采を送ったに違いありません。毛唐どもの趣味が出ていました。

ヒチコック監督作品の常連であるケーリー・グラントとグレイス・ケリーが主演していました。この映画では、主演がスターでないといけません。最初は敵のような間柄が、やがては恋に落ちるという話の流れですから、観客をうっとりさせる効果が出ないといけません。申し分のないキャスティングだったと思います。

例えば、撃ち合いで次々人が死んでいくような話だったら、たとえヒーローが一人勝ちしても、よほど残酷な趣味の人は別として、何となく観終わった後に爽快感が抱きにくいところがあります。銃を構えた悪人が登場しても、撃ち殺したり突き落としたりしては、娯楽作品としてはちょっと後味を悪くすることを覚悟しないといけません。この映画は、スリルを犠牲にしても後味を優先したのだろうと思います。

監督は別の作品では、たくさんの人を殺してしまいましたが、この作品ではおしゃれな路線を狙っているためでしょうが、殺しを避けています。ロマンスを優先するなら、正しい判断だったと思います。いっぽうでは、他の作品と印象が違って、刺激不足と感じる人もいるかも知れません。ロマンス映画なら、もっとうまく撮れる監督がいるわよって言う人もいるでしょう。

途中で、どうやら真犯人は既に登場した人の中にいるらしいと気がつく人が多いと思います。とすると、おそらくあいつが犯人だな・・と分ってしまいますが、自然にゆっくりと観客に分るような流れですし、意外性を狙って無理するところもなく、極悪の敵役との対決の路線でもないので、本当におしゃれな話でした。今なら、きっとスリルが足りない!と、酷評されるかも知れません。

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