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2007年10月10日

バリー・リンドン(1975)

- そして今は棚の隅   -

原作を読んだとことはありません。想像するに、おそらくレ・ミゼラブルもどきの歴史小説ではないかと思います。日本にも同じように、架空の人物を歴史的変革の時代に想定した小説がたくさんんありますが、この映画では作品のストーリーよりも、映像美のほうが有名になって、物語など吹っ飛んでしまったかのような感じがします。

この映画は、たぶん家族で観て良い作品だと思います。暴力シーンは少しありますが血まみれにはなりませんし、戦争はありますが残虐な殺人のシーンが除かれていますし、家族で観ることを前提として作られているようです。恋人と観ることも可能だと思います。ただし、恋愛が話にあまり出てきません。

監督は、この映画を撮るにあたってレンズを特注して、暗い室内で鮮明な絵画的映像を表現できるようにしたそうです。確かに、それまでの作品とは印象が違います。映像オタクにとっては記念すべき作品だったと思います。しかし最近の映像は、もっと進化しています。今見ても感動するためには、やはり話が盛り上がらないといけません。

その点、話は展開の仕方が良くなかったような気がします。成功した後、革命に巻き込まれて没落する、もしくは愛を貫くために命を賭けるような展開なら感動の度合いが違いますが、この作品は没落すべくして没落する様を描いていますので、同情する気にはなれませんでした。

「ギャッピー」のような、諦観が漂う原作だったのかも知れません。ラストで「~今は、皆死んで眠るばかり。」というナレーションがあるようで、主題はそこにあるように思いました。諸行無常の境地でしょうか。でも、映画では盛り上がる戦いがないといけません。

できれば主人公には、あくなき出世欲、金銭欲を出してもらい、ライバル達をはかりごとで蹴散らし、徹底的な悪事をはたらいて宮廷でのし上がろうとして最後に失敗する様を描いて欲しかったと思いました。最後は、死刑が望ましかったのでは?

主演のライアン・オニールは、たぶんアイルランド系で、主人公と同じように、私生活は結構派手だったようです。テータム・オニールを生んだ奥さんとは別れて、ファラ・フォーセットと同棲していたような気がしますが、その後どうなったのでしょうか? 今回の役では、表情を抑えて目だった立ち居振る舞いをしない演技をしていましたが、うまい演技だったのか分りませんでした。適役だったような気はします。

今はカメラの性能がいいので、みずみずしい映像の作品がたくさんありますが、この作品は当時としては際立って美しい映像を見せています。絵画を意識した数々のセット、シーンが特徴です。映像美を追求する監督の作品ですので、いろんな工夫をした撮影だったはずですが、’そして今はビデオ屋の棚の隅にあるばかり’、といった印象です。

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