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2007年9月 9日

ディック&ジェーン(2005)

- 笑える? -

大企業の重役に抜擢された男が主人公でした。長年の苦労が実り喜び勇んでの初仕事で、いきなり会社の破綻を知らされます。彼自身が責任者ではないのに、発表した彼は顔が知れわたってしまい、再就職をしようにも「あの、破綻した会社の・・・」というレッテルを貼られて、相手にされない始末。家のローンも払えなくなって、彼はとうとう隣家の芝生泥棒やら、銀行強盗までするようになります。

奥さんも切羽詰って、いっしょに強盗しちゃいます。結構これがうまくいって逮捕もされないところが不思議ですが、それくらい困った状況になります。こんな境遇になっているのに、かって勤めていた会社の会長は悠々自適、サファリでハンティングなんぞをかましています。法律でちゃんと保護されているようです。仕返しはできないものでしょうか。

この映画は、明らかにエンロンの事件がヒントになっていると思います。多額の資金を集めた挙句に破綻した会社があっても、その役員は高給を取って悠々と生活。いっぽうで社員が路頭に迷うのは矛盾しています。やはり、経営陣は様々な社会的責任を全うしなければなりません。

金に困った様子がおかしく描かれていたはずですが、私は全然笑えませんでした。クリニックを開業して、最も金銭的に苦しかった頃に見たので、あまりに現実的すぎました。勤務医の頃は、値札を見ないで買い物していたのに、10円の値段の違いに目を血走らせていましたから、この作品の本来の味わい方ができませんでした。

開業当初は月に100万くらい赤字が出ていましたが、こんな時に家財道具を売り払う話で笑えますか?観ているうちに、気が滅入ってきました。私だけじゃないかも知れません。

盗みに入って罰せられる場面がありませんでした。芝生なら許されるということはありません。盗みはギャグにしにくいと思います。この作品は、その点が変っています。犯罪を美化していると見られなくもありません。犯罪を犯しそうになる映画はたくさんありましたが、犯人は通常は捕まります。捕まらなければ、何か「あれれ?」という感情が残り、観客は気まずくなると思います。

ジム・キャリーも、奥さん役も結構うまい演技でしたが、演出には問題があったような気がします。

基本的に、犯罪しそうになっても主人公はドジこいて失敗しなければなりません。そして、ドジを悔やみながらも、罪を犯せなかったことを喜ばせないと気まずさが残ります。もっと、思い切り失敗させないといけませんでした。

ローンが払えなくなる話は、現実にも払えない人がたくさんいるので、短時間で済ませないといけません。今までの映画は、ほとんどがそうしていました。編集で調整できたはずです。そのへんのセンスがありませんでした。ドキュメンタリーのような作り方では、腹を抱えて笑えません。

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