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2007年8月12日

父親たちの星条旗(2006)

Photo_22 - PTSDにもなるわな  -

硫黄島の戦闘と、有名な写真の秘密にまつわるエピソードを中心に、若い兵士達の運命を描いていました。説得力のある作品でした。残念ながら、子供にはこの作品を見せたくありません。むごたらしい死体がいっぱい出てくるからです。子供が映画でPTSDになったら大変です。恋人と観る前にも、よく考えた方がいいかも知れません。

硫黄島に上陸した米軍が星条旗を立てる写真を使って、戦時国債を集めようと考えた軍上層部は、旗を立てた戦士を本土に呼んで、ヒーローとして祭り上げます。実際に彼らがどのような英雄であったかどうかが問題ですが、話が進むにつれて実像が明らかになってきますが、英雄となった彼らは心に深い傷を負うことになります。

衛生兵が戦後に悪夢でうなされるのは、今で言うならPTSDでしょうか。仲間が半分も死ねば、普通の感覚なら平気でおられるはずがありません。まして、自分のせいで誰かが死んだら、一生うなされると思います。

着想が素晴らしいと思いました。戦争のヒーローが実は、、 という話は他の作品にもありましたが、この作品におけるヒーロー達の描き方が淡々として自然だったので、心に訴えかけるものがありました。

戦闘シーンも凄まじいものでした。ちょうど「プライベート ライアン」と同じような上陸作戦の映像でしたが、ちぎれた手足がころがる恐ろしい場面がリアルに描かれていて、本当の戦場もかくあったろうと思いました。あのような戦場では仲間といっしょに生き残るので精一杯でしょう。英雄になろうなんて考える余裕は、普通ありません。

日本軍の砲弾がやたら戦車や戦艦に命中していましたが、これは脚色によるものだと思います。そんなに砲弾があったはずはないので、実際は村田銃で狙撃された兵士が多かったはずです。友軍に撃たれるシーンがありましたが、混乱した戦場では多かったろうと思います。

原作の書評を読んだことがありますが、あの有名な写真に複雑なエピソードがあったということは、読むまで知りませんでした。原作者は登場人物の息子さんで、そのことが物語に重みを持たせていました。しかし、映画に原作者を登場させる必要があったかどうかは私には分りません。いろんな時間で、いろんな家族を描いているために、ストーリーが細切れになってしまった印象があります。

過去の記憶をたどるのは、せいぜい数回程度に限定すべきだと思います。脚本次第では恐ろしいほどの傑作になったかもしれない題材だったと思います。少し残念です。でも、このストーリーでも充分に名作だと思います。

テレビの「ホワイトハウス」などを見ていると、アメリカの政治はキャンペーンで動くことが分ります。うまく演出して、多くの選挙人を確保し、予算を多く集めたほうが政治力を発揮できます。アピールするために、多少の脚色がなされるのは常のようです。

国債のキャンペーンが、実際に映画のようにされたのか分りませんが、コーラスガールが「国際買ってよ~」と歌うなど、日本人の感覚では考えられません。でも本当の話かもしれません。

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