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2007年8月17日

シャーロットのおくりもの(2006)

Photo_39 - ストーリーテラーは誰に?  -

この作品は名作だと思います。またドリームワークスか?って気もしましたが、似たようなスタジオが作っていたようです。いかにもかのスタジオの匂いがする動きのクセが気になりますが、美しい映像に感心します。もしかすると大傑作になるための何かが欠けていたかも知れませんが、いい映画でした。

子豚のウイルバーと、クモのシャーロット、ネズミのテンプルトン、人間のダコタ・ファニングが中心のストーリーでした。料理されそうなウィルバーを女の子が助け、その後は納屋でクモやネズミ達と協力してハムにされないように工夫しますが、そのための方法が奇抜でした。

田園風景の美しさは印象的でした。そして、クモの動きや表情まで表現したCG映像の細かさは、これはもう驚嘆すべきレベルでした。クモの表情は、しかし私の印象ではやはり所詮はクモで、気持ち悪いと感じましたが、声優の声がよかったので慈愛に満ちたキャラクターは感じました。でもやはりクモの顔のアップは、私は希望しません。

イラストを使ったエンドロールも美しい映像でした。夢と慈愛にあふれた作品にふさわしいものだと思います。

動物達の動きは、これまた見事でした。実写とCGの区別は、もう私にはさっぱり分りませんでした。すごいテクニックです。映像だけ見ていても、充分に見応えのある作品だと思います。加えて、子豚が周囲の動物たちと友情を育む物語は、心温まるものでした。

当然、この作品は家族で見れると思います。恋人と見ても、映像の凄さを楽しむことができますので悪くないような気がしますが、クモを嫌いな女の子は、やはり観るのを嫌がるかも知れません。そのために、この作品を観る時には、外した時の用心に別な映画を用意しておいたほうが無難でしょう。

「メン・イン・ブラック」で、夫を宇宙人に食われて事情聴取をうける農家の奥さん役がいましたが、この作品では叔父さんの奥さん役で出演していました。この女優さんはsiobhan fallon hogan(日本読みではショーハンもしくはシオバン・ファロン)という方だそうですが、いい演技をしていました。おそらく農園の奥さんのイメージにぴったりなのでしょう。この作品でのウェイトは高くなかったようですが、豚を料理しようと追っかけるような場面などがあればよかったと思います。

クモやネズミ、納屋の他の動物達のキャラクターは問題なかったと思いますが、人間のダコタ・ファニングのキャラクターが中途半端でした。最初は重要な役割を果たしますが、最後まで子豚を救おうと中心的に動くわけではなく、後半はただ見ているだけに近い役割になり、わざわざダコタをキャスティングした意味がほとんどないような印象を受けました。

成長して、人間の男の子にも興味を持つようになって良かったね、という話の流れだったようですが、子豚との心の交流が話の中心であるべきですから、後半もウィルバーを救うために大きな働きをするべきだったと思います。人間の男の子は最後にちょっと手をつなぐくらいでいいはずです。もう少し登場時間を長くすべきではなかったでしょうか?

ストーリーを誰が語るかによっても、どれだけ語らせるかによっても雰囲気が大きく変ってくると思います。この作品ではナレーションは客観的な第三者の設定でしたので、落ち着きすぎたのかもしれません。登場人物にさせるのが普通だったと考えます。いったい誰が話しているのかの視点がはっきりしないと、観客も感情移入しにくいことがあります。

本の場合は、季節ごとに作者の説明の話をスタートさせれば、章が変る落ち着いた文芸調の雰囲気が出せますし、ナレーションを飛ばせば作品にスピード感が出せます。そのような調節はこの映画でもやられてたとは思いますが、やはり誰が、という点がはっきりしないので、効果を損なう結果になっていたように思いました。小説と映画は違います。

この映画の売りは、クモの動きのCG映像と動物達の自然な動作だと思います。そして動物達や人間達が感動し、成長したことが描かれているのですから、基調が悟りや諦観のような、落ち着いた雰囲気ではありません。したがって、作者の視点よりも、登場人物のほうが基調に合う可能性があります。

有名な小説を題材にしていますし、以前にもディズニーのアニメ作品がありますから、自由に脚本を変える事はできないとは思いますが、ネズミかヤギあたりが話せば、もっと愉快な雰囲気が出たような気もしました。

「僕らとウィルバーは、硬い友情で結ばれました。次の春も、またその次の春も僕らはいっしょに過ごしました。そしてシャーロットのことを思い出すたびに、彼女に感謝したい気持ちで胸がいっぱいになりました。」そんな語り口なら、落ち着きは減りますが、雰囲気は良くなったのでは?

それだけで、印象が随分変ったかも知れないと思います。

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