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2007年8月19日

バンド・ワゴン(1953)

- 気取ったポーズ  -

バンドワゴンという言葉は、この映画ではどのようなニュアンスで使われていたのか分りませんが、劇中劇のひとつのタイトルが The Band Wagonでした。本来は’勝ち馬’のような意味合いの言葉だと思いますが、この映画では別な意味かも知れません。バンドを組んで移動する楽団の車の意味で使われた別な映画もありましたから、その意味かも知れません。

この作品は、本来は家族で楽しめるように作られたと思いますが、ダンスの約束事というか仕草や表情が古くなってしまったので、子供達や若い人にはわけが分らないと思えるかもしれません。ダンスには流行がありますから、今はヒップポップ系のダンス以外は、かっこいいとは思ってくれないかもしれないと考えます。

ミネリ監督の作品に限らず、ミュージカル映画は主人公が落胆したり、人気がなくなって寂しい思いをする時は急に静かになる関係か、非常にシリアスになります。この作品では何度もそんな場面が有効に使われていたようです。

まず主人公がエバ・ガードナーの影に隠れて相手にされなかった場面、かって大スターだったブロードウェイで一人歩く場面、舞台の初演後のパーティーに誰も来なくて寂しく音楽を聴かされる場面、仲間とのパーティーで急に皆が黙りこくった瞬間など、それまでがにぎやかなために対照的です。別に演技が巧くなくてもドラマになります。

アステアは、この作品の頃は54歳くらいで、さすがにキャリヤの後半に入ってますから、主人公と重なる境遇だったはずです。寂しい表情も絵になりました。彼は若い頃にブロードウェイでこの作品の舞台をやっていたそうですから、もしかすると彼がこの企画を持ちかけたのかも知れません。

私はダンスができませんので、そもそもこの作品の良さが充分には分りません。有名な’ダンシングイン ザ ダーク’の踊りも、何だか退屈な印象を受けました。でも劇中劇の中のダンスは少し分りました。「パリのアメリカ人」でもそうでしたが、途中で話と関係なく挿入されるダンスには実験的な表現方法をとれるらしく、一番魅力が出るように思います。

ギャングと探偵の戦いをテーマにした劇では、ギャング役のエキストラのダンサーがピストルを撃ちながらダンスするのが結構ユーモラスで、しかも芸術性が感じられるほどの出来栄えでした。

シド・チャリシーは、昔の美人という印象でした。妖艶な役が専門ですが、今回は真面目なダンサーという設定で、もしかするとミスキャストだったのかも知れません。

彼女のバレエのソロを見ると、スタイルの良さや体力は感じますが、本当のプリマドンナとは腰つきが違うような気がします。モダンバレエ流のクラシックバレエのような振り付けだと思います。なかなかクセは抜けないためかも知れません。

娘といっしょに森下バレエ団を見に行ったことがありますが、トレーニングを積んだ団員の踊りは見事でしたが、やはり体格の関係で違和感がありました。日本人では、そもそもクラシックバレーは難しいように感じます。日本人は阿波踊りやネブタ踊りが合ってるのではないかと思います。

アステアやジーン・ケリーのダンスは、途中で変に気取ったポーズを取るのが気になります。慣れていない人が見ると、笑ってしまうでしょう。でも、オールドファンが観ると、たまらなく優雅な踊りに見えるのでしょう。

 

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