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2007年7月24日

フラガール(2006)

- 体育会系   -

常磐炭鉱のどこかの町が舞台でした。炭鉱が閉山間際になって、会社はハワイアンの温泉センターを企画しますが、東北の町にハワイと言うのは、いかにも無理な感じがします。町の人にしてみれば、閉山リストラ路線を進める会社に協力してなるものかと、冷たい態度が主流です。当時の状況を思えば、当然でしょう。

この炭鉱は、実際のところ温泉を捨てて石炭を掘っていたそうで、無駄な温泉の有効利用法として、温泉センターは良い考えですが、まだバブルの時代ではありませんから、ハワイアンセンターのアイディアには懐疑的な人が多かったはずです。

で、町の娘が数人、ダンサーに応募してきましたが、当然ながら素人です。松雪演じる先生の指導で、少しずつサマになってはいきますが、その間には様々なトラブルが起こります。ダンサー各々の家庭でもケンカが起こります。さて、うまく開園できますことやら、というストーリーでした。演出はされていましたが、この経過はリアルに描かれていました。

いい作品でした。出演者達の感動が伝わる珍しい映画だと思います。実話が基になっているそうですが、うまくまとめないと単なるサクセスストーリーになってしまう危険がありそうな題材です。でも、踊り手達の興奮が私達にも伝わってきましたので、いっしょに喜べるような感覚になりました。家族で見ても、恋人と見ても良い作品だと思います。

スポ根ものの作品に多いのですが、ヒーローがいて、最初は挫折し、やがて周囲の理解を得て、最後に感動のサクセスストーリーでは、決まりきったクサイ芝居で、動作も実際の選手ほど美しくない、いかにも芝居という雰囲気が漂うことがほとんどです。これを避けるためには、実際に役者達が高いレベルの競技ができることが必要です。「スウィング ガールズ」も成功した作品だと思いますが、あれも演者達が感動していることが伝わりました。

この映画のダンサー達は、相当な練習をしたに違いありません。テレビで社交ダンスに挑戦する芸能人の番組がありましたが、あれも似たような感動を得ることができました。我々の多くは、自分であろうと人であろうと関係なく、努力が報われることに幸せを感じるように思います。

この映画の演出は、特殊な点はないはずです。今までの日本映画の演出となにも変らないような気がします。松雪の踊り、演技は上手でしたが、彼女は旧来の芸達者な役者と同じようにパターン化した演技をしていたにすぎないような気がします。でも、彼女の持つ何となく薄幸なイメージが演技以上の存在感を感じさせたように思います。

その他の富司純子、豊川悦司も非常に巧く、計算された演技の迫力が感じらられましたが、やはりそれだけで我々を感動させるほどの名演とは言えないような気がします。決め手は、ダンサー達の息使いと目です。やはりダンサー達が必死にやった体育会系の感動が成功の秘訣だったように思います。

そういえば、この映画は恋愛を排除していました。普通なら豊川と松雪の間に何かあるなり、踊り手の誰かが恋人に止められて困るようなエピソードがありそうなものですが、きれいに排除されていました。恋人より家族を優先せざるをえない、せっぱ詰まった状況が舞台の映画ですから、超体育会系で恋愛どころじゃなかったのかも知れません。また実際と違うと、モデルの人達が困るのかも知れません。

結果的に恋愛がなかったのは、テーマがしぼれて良かったような気もします。町の浮沈をかけたプロジェクトに、愛だの恋だの言ってらんね~だ。話が単純になって、よがったとオラも思う。 

友人との別れの場面の「じゃ~な~。」も良かったと思います。良いセンスでした。じゃ~な~。

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