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2007年7月28日

Ray(2004)

Rayは、いい映画でした。おそらく本場での評論家達の評価も高かったのではないでしょうか? ただし音楽が古いので、若い人が見ても、古いジャズファンと同じようには楽しめないかも知れません。レイ・チャールズの音楽は、彼が相当ラリッているためか曲は元気なので、若くても分る人には分るとは思いますが。

家族で見る作品だとは思えません。子供には、あまり向かないでしょう。

主演のジェイミー・フォックスは、サングラスをかけて肩を揺するとレイ・チャールズそっくりで、存在するだけで絵になっていました。もともとコメディアンで、多分モノマネを昔からやっていたはずですから、この役もお手の物だったのかも知れません。

作品の構成も良かったと思います。弟の事故がトラウマになっていることが非常に分りやすく表現されていました。少年時代と現在のシーンの往復で、ちゃんと何を表現するかの目標がはっきりしていましたので、なぜ現在の彼がこのような判断をするのかが、過去の母親の言葉などと関連付けて、すんなり理解できました。

主人公を、純粋にミュージシャンとしてだけでなく、結構疑り深く、気難しく、ギャラ交渉などでもヤリ手な面を演出していましたが、たぶん実像に近いのではないかと想像します。これらによって作品の質は高まったと思います。脚本が良かったのでしょう。

ジェイミー・フォックスは、日本で言うならビートたけしに近いキャラクターだと思います。存在感や、キャラクターで売るタイプの役者ですから、昔のハリウッドスターのようにニヤけて白い歯を見せるタイプとは違うように思います。また、いわゆる演技派の名演とも少し様相が違い、ある意味ではモノマネに過ぎない、大根役者なのかも知れませんが、日本人の私から見れば充分な’名演’でした。

歌も見事でした。ミュージカルのようにセリフと歌詞を重ねるシーンが何度かありましたが、本職としても通用しそうな歌声で、多少の技術的効果も補ってはいたはずですが、歌だけ聞いても楽しめる作品に仕上がっていたと思います。

そういえば、本人のレイ・チャールズは、確か「ブルース・ブラザース」に盲目の楽器店主として登場していたはずです。盲目なのに、でかい銃をいきなりブッ放して泥棒を追っ払うというシュールな役でしたが、いつもの笑顔(あれは笑顔なのか?)と、いつもの機械仕掛けみたいな動作が役にあってて傑作でした。

助演で、最初の不倫相手でダンスとコーラスを担当する女優は、楽しく踊る時の表情がいかにも向こうのダンサー的で、生き生きとして雰囲気のある人でした。彼女のおかげで、ライブのステージのような臨場感が盛り上がっていたようです。

母親役も大事でしたが、いかにもあちらの若い未亡人(未亡人だと思うけど?)のような表情、振る舞いをしていました。彼女は本当の役者のようです。

これだけ素晴らしい作品でしたが、私はもう一度見直して見たいとは思いませんでした。仕方ないと思います。この作品は「ドリーム・ガールズ」とはキャラクターが異なる作品で、ビジュアルで惹きつけて我々をワクワクさせようという類の映画ではありませんから、感動の種類が違います。しばらくたって、暇な時に思いだして見たいと思うかも知れません。

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