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2007年6月11日

プラダを着た悪魔

Photo アン ハサウェイの目は藤子不二夫的だと思いませんか?

この作品の主人公、アン ハサウェイはジャーナリスト志望ですが、就職口がないためファッション雑誌の編集者の秘書として働くことになります。この編集者メリル ストリープは、尊大なカリスマで、職員は皆彼女にかしづいています。場違いなハサウェイでしたが、次第に無理難題に応じることができるようになり、信頼を得ます。ところが、それに伴い恋人や友人達との関係はギクシャクするようになり、彼女は職場と恋との二者択一を迫られることになります。さて、彼女の判断はいかに?

恋人と見ても家族で見ても良い作品だと思います。イジメと言えるような要求が主人公になされますが、露骨な部分や暴力沙汰がほとんどありませんので、子供も見れると思います。

若い女性がキャリヤアップを目指して奮闘する物語はたくさんありますが、どれも主人公に共感してしまいます。この作品は、その中でも特に指折りの佳作だと思います。原作がベストセラーだったそうですが、この作品は映画用にうまくまとめてあると思います。

DVDの付録には、「恋するアンカーウーマン」の宣伝が載っていました。これも同じようなテーマですが、より主人公がパワフルでセクシーな設定のようです。ミシェル ハイファーが出た「アンカーウーマン」や、シガニー ウイーバーが敵役を演じた「ワーキング ガール」も、同じように主人公の女性が明日を夢見て努力する筋書きでしたが、主人公のキャラクターによって、微妙な味のちがいがありました。

登場人物のほとんどは仕事熱心で、上昇志向が強く、しかも確固たる人格を持つという視点から描かれていました。ちょっときれいに描き過ぎかも知れません。しかし、昔の健全な映画のように、見た後に幸せな気持ちになれました。リアルでえげつない出世競争、人を蹴落とす物語を見てもあまり後味が良いはずもありません。

視点と言えば、カメラの視点が非常に良かったと感じました。カメラの高さのちょっとした調整にも神経が行き届いているようで、もしかするとファッションショーの場面が多かったからかもしれませんが、ショーを見るかのように視点がスムーズに移動されていると感じました。色彩も人物の顔色も的確に調整してあり、センスのある美しい映像でした。メーキャップがファッションショー的であった感はありましたが。

気になったのは、主人公のファッションが次第に洗練されていくのは良いのですが、いかに責任者が許可したとしても撮影で使うはずの会社の衣装を借りて良いのか?ということです。あちらの会社は、その辺が自由なのでしょうか?ちょっと、ありえないような気がしますが。

それに、アメリカの出世競争は実に激しくて、この映画のように協力的な同僚がそれほどいるのは、現実では稀ではないかとも思います。失敗するのはお前のせい、みたいな表情をする人がほとんどではないでしょうか。人種、キャリア、コネなどに強大な壁が存在するはずです。

アン ハサウェイは、もともと愛嬌のある顔で、この役にはうってつけでした。彼女がひどい要求をされると面白くなります。アンカー ウーマンでは迫力のあるレベッカ ローミンが、凄い顔をして強引に乗り切る姿が笑わせることになるでしょうが、アン ハサウェイの場合は、かわいく賢く乗り切るのが爽快でした。可愛くか、迫力か、いずれかがポイントのようです。

メリル ストリープはいつもながら巧く演じていました。少し細眼を多用していたようですが、もしかすると人を小ばかにしたした細眼は、万国共通の尊大さの表れなのかもしれません。私のボスの中にも似たような表情をする人がいました。思い出しても背筋が凍るような目線でしたが、彼らも上昇志向が強くて、何でも競争してしまうクセのある健全(?)な人達だと考えるようにしています。

 

 

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