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2007年6月16日

THE 有頂天ホテル

Photo_41 - ながら見映画の傑作   -

オムニバスタイプの作品で、かなり楽しめました。爆笑の連続ではありませんが、吉本の喜劇より品があって、金がかかっている分だけ迫力もありました。画面にかじりついて見るような映画ではなく、何か手作業でもしながら見ると重すぎず、ちょうど良い作品のような気がしました。

家族、恋人といっしょに見てよい映画だと思います。悪い雰囲気にはならないでしょう。

主人公はホテルマンの役所広司でしたが、たくさんの登場人物が複雑に、しかしうまくかかわりあって、よくできた話になっていました。役所の役柄は、いつものように真面目に仕事をこなすホテルマンでしたが、このホテルにはスキャンダルが発覚した政治家、コールガール、大物演歌歌手、スチュワーデス、芸人達、アヒルなどがうろうろし、加えてホテルを辞めようとする若者、芸事が好きな支配人、恋仲だけどもめている職員、政治家の元恋人などが絡んで、話がシチャカチャに交錯します。役所達の奮闘で、どうやら無事解決か?という話でした。

とにかく話をよく考えたもんです。お互いが絡まないと作品になりませんし、話を無理につなげるとシラケてしまうし、かなり構想を練って作られたのだろうと推測しました。

印象としては、これは舞台でやった時は観客が釘付けになる話だろうと思います。映画では演技がオーバー過ぎると現実感が薄れるため、かえって素直に笑えないのです。演出がどうしても舞台風なので、少し違和感が感じられました。映画と舞台では、身振りひとつをとっても全く変えないといけないような気がします。寅さん映画的な匂いがしました。

西田敏行の演歌歌手役は、途中まではオーバーではありましたが、歌手の実像もかくあるかと思えるほどで、寅さんシリーズの登場人物(要するに少しオーバーに特徴を表現する感じ)のような面白さがありました。でも、記者達の前にしゃしゃり出て歌う場面では、もっと現実にありそうな反応をされると良かったような気もします。出て行くまでの話にウケを狙った省略があったようですし、出た後もセリフに問題があったような気がします。舞台用の流れではなかったでしょうか。

松たか子はヒロインだったのだと思いますが、演出の仕方と彼女の演技のクセが合致していないような印象を受けました。テレビ向きで、お嬢様的なところがありますから、配役に無理があったのかもしれません。演技自体は上手でしたが、浮いてるような感じが少ししました。

カビラの演技も少しオーバー過ぎたかも知れないと思います。全体の中で良いバランスだったか微妙な感じがしました。もっと極端にドジでまじめな男に設定して、一生懸命愛を告白するのに、ドジのために相手を怒らせるという話を繰り返したらどうかと思いました。キャラクターが今ひとつ際立っていなかったような印象です。

香取慎吾の演技は好感を持てました。役柄も良かったですが、もともと話し方からして好感を抱かせるキャラクターの持ち主ですから、演技以前の段階で成功していました。もし仮に木村拓也が出演していたら、配役のバランスの面でおかしくなったように思いますし、草薙君が出演していたら、話が重くなりすぎていたかも知れません。彼もかなりの演技派ですが、顔が悲劇向きですから。

面白く拝見しましたが、正直なところ観終った後に何度も見直したいと感じるほどではありませんでした。重くない作風だからでしょう。その分、何かをしながら見るときには楽しめるような気がします。

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